地方の国立大が東大、京都大を押しのける理由

――今回の調査で興味深かったのは、「増収達成」「増益達成」「増収増益達成」のランキング表です。いわば、企業に成功をもたらす能力が高い社長の出身大学ランキングで一橋大学がトップなのはうなずけますが、地方の国公立大学が上位に並ぶのはどういうわけですか。

たとえば、増益達成ランキングで山口大学が2位です。経済学部から医学部、農学部まで9学部ある普通のローカル国立大学です。卒業生の社長を調べると、三船法行(トーカロ社長)、内田成明(ダイキョウーニシカワ社長)、西田計治(三井金属鉱業社長)、藤本万太郎(新日本理化社長)氏らが並びます。多くの有名私立大学や東京大学、京都大学を押しのける背景は何でしょうか。

担当者 具体的な企業名や社長個人名を出すことは控えたいと考えています。しかし、一橋大学に限らず、国公立大学出身社長の企業は中央、地方を問わず堅調な傾向が表れています。

たとえば、2023年調査では岐阜大学が「増収」部門で3位、「増益」と「増収増益」の2位と大健闘しています。このほか三重大学、鹿児島大学、山口大学、山形大学、熊本大学、広島大学、金沢大学などの地方国立大学が、慶応義塾大学や早稲田大学といった有力私立大学を押さえて、上位を独占しています。

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千葉・浦安の新興私大、明海大が大躍進の秘密

――なるほど。ところで、今回の「増収」ランキング4位の明海大学ですが、千葉県浦安市にキャンパスがある、1970年創立の新興私立大学です。大学の公式サイトを見ると、「不動産学部」や「ホスピタリティ・ツーリズム学部」などの新しい学問分野と歯学部があるのが特徴です。この大学が、4位になったのはやはり不動産や観光分野で有能な経営者を出したからでしょうか。

担当者 明海大学出身社長のうち、7割超が歯科診療所の経営者でした。病院や歯科診療所の業績は手堅い結果を示す傾向が強く、同大学の増収達成ランキングを押し上げました。

2022年の調査では、増収増益部門のトップは昭和大学でした。医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部の4学部からなる医系総合大学です。やはり、医療系の卒業生が経営者のクリニックは業績が順調です。明海大学の場合は、昭和大学と似たケースと考えられます。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)