神奈川県厚木市のサンクトガーレンは2024年11月21日(木)のボジョレー・ヌーボー解禁日に、ワイン並の高アルコールを持ちワインのように長期熟成が可能なビール「麦のワイン」2種類を、各6000本限定で発売する。
タップルームでは2022年製造・2023年製造の熟成品との飲み比べも
麦のワインは19世紀に寒冷でブドウ栽培が出来なかったイギリスが、フランスワインの人気に対抗して造ったビールと言われている。“ワイン”と名に付くようにビールでありながらワインに匹敵するアルコールを持ち、ワインのように年単位での長期熟成が可能。
当時は大麦麦芽を主原料とした“バーレイワイン(Barley Wine)” 1種類でしたが、1980年代にアメリカで小麦麦芽を主原料にした“ウィートワイン(Wheat Wine)”が誕生。
サンクトガーレンでは2006年よりバーレイワインを発売。2012年よりウィートワインが追加となった。
バーレイワイン、ウィートワインともに原材料は通常ビールと同じ麦芽・ホップ・水・ビール酵母のみ。それを膨大な量使用し、極限までアルコールを高めている。麦芽は通常の約3倍使用している。
さらに麦汁の濃度の高い部分だけを使っているため、サンクトガーレンの醸造システムでは通常1回の仕込みで約2,000Lのビールが造れるところ、麦のワインはその半分の1,000Lしか造れない。
麦の旨味が凝縮された、非常に濃厚で蜜のようにとろりとした口当たりが特徴。特にウィートワインの主原料である小麦麦芽は大麦麦芽よりもタンパク質が多いため、液の粘度が強くなり“とろみ”をより強く感じられる。
ビールの苦味と香りの基になるホップはウィートワインで2.5倍。バーレイワインでは約7倍もの量を使用。そのため、特にバーレイワインは通常のビールとは比較にならないほどの濃厚さとともに、華やかな香りと、重厚な苦味をあわせもっている。
熟成期間は通常の6倍以上で繁忙期の夏の間中タンクを占領され続けます。完成までにかかるコストが並大抵ではないことから、日本で造っているメーカーは多くない。
アルコールはどちらも10%で、通常のビールの約2倍。出荷時点で通常の6倍の熟成期間を費やしているため、すぐに飲んでもブランデーを思わせる熟成感があるが、購入後に1年、2年・・・と熟成させることで、香りも味わいも驚くほど深みを増し、複雑味を帯びてゆくとのこと。賞味期限は5年間。
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“鮮度が命”の常識を覆す、古いほど価値が上がるビール
普通ビールは新鮮な出来たてのほうが喜ばれますが、麦のワインは逆。ビールファンの間では古いほど価値が高いとされます。そのため多めに購入して熟成させ、前年のものと飲み比べを楽しむ方や、結婚や出産の年の記念に購入し節目の年に楽しむという方も多くみられる。
熟成させると、ドライフルーツやカラメルが複雑に絡み合ったような甘味が強く出てくる。
サンクトガーレンの麦のワインはシャンパンと同じ瓶内2次発酵製法で仕上げている。発酵の終了したビールから古いビール酵母を取り除き、新鮮なビール酵母と、糖分(麦汁)を添加して1本1本手作業で密封している。
通常の瓶詰めは炭酸ガスでビールに圧力をかけて行いますが、麦のワインは炭酸ガスを使いません。麦のワインを瓶に詰めたあと、酵母が活動しやすい温度(13度前後)で2週間程度保ち、このときの発酵活動によって自然発生する炭酸ガスをビールに溶け込ませて仕上げている。
栓を開ける瞬間まで発酵が続く、単なる酵母入りビールとは一線を画す本当の生きているビールだ。