松本人志が“地上波に復帰”しても「視聴者は笑えない」のか。カギを握るのは“最初に届ける言葉”

 松本人志が「週刊文春」の報道に対し、文藝春秋を相手取って起こした裁判について、双方合意のうえ訴えを取り下げたことが明らかにされた。

 松本は女性らの参加する会合に参加したことを認めたうえで、「参加された女性の中で不快な思いや、心を痛めた方がいらっしゃったのであれば、率直におわび申しあげます」という謝罪を含むコメントを、代理人を通して発表した。

 松本が所属する吉本興業も「関係各所と相談の上、決まり次第、お知らせさせていただきます」と、あわせてコメントを発表、この件をめぐる裁判は終結という形となった。

 これを受け、各メディア、SNSなど、さまざまな意見や反応がみられたことは説明するまでもないが、なかでも気になるのは、現在休止中の芸能活動の再開に関するものではないだろうか。

 劇場、配信……復帰のタイミングや内容など以前に、芸能活動再開そのものがどうなるか明らかではないが、やはり多くの人が見る地上波のレギュラー番組への復帰があるのかないのか、そして復帰があるとすればいつごろなのかというところが最大の関心事だろう。

 あまりにも気が早いかもしれないが、芸能活動再開の可能性があると仮定したうえで、2つの「気になること」について考えてみた。

◆松本人志の地上波復帰を視聴者はどう思うか

 まず1つ目。仮に、地上波の既存のレギュラー番組で再び松本人志が見られるようになったとして、そのとき果たして我々は、かつてと同じテンションで笑ったり楽しんだりすることはできるのだろうか。

 それについて、人気バラエティ・情報番組などを手掛けるある放送作家は、

「まず、松本さんのことが好きだった人、松本さんファンに関しては、『そもそもああいう人』ということを知ったうえで番組を見ていた人が多く、復帰を待ち望む派も多いはずなので、その層に関しては、笑えなくなるという人はそこまで多くなく、スムーズに迎え入れられる気がします」

 という前提のもと、こう続ける。

「たとえばベッキーさんや渡部(建)さんのように好感度の高さも武器にしていた人と、松本さんのもともとの芸風は違うということです。既婚者である松本さんが女性のいる会に参加していたことは事実ですが、松本さんの芸風から考えたときに、大きな影響や嫌悪感はそれほどないのではないでしょうか」

◆裁判が騒動を大きくしてしまった

 芸能活動の休止に至るまでの大きな騒動にまで発展したことについて、前出の放送作家は「裁判をしたことで、ここまで大きくなってしまった部分はあると思います」と見解を示した。

「文春側も、そもそものところは正義感でというよりは話題性のために報じた部分のほうが強いと思います。

 初動のときに、松本さんがXで文句を言う、またはスルーすればここまでにはならなかったかもしれないところ、裁判という大きなかたちに発展させてしまった。途中で一度会見を開くなど、ガス抜きをしていれば風向きも変わっていたのかもしれません」

◆後輩芸人たちの反応は

 ではもうひとつ気になること。ダウンタウン、松本人志の笑い、そして松本の著書『遺書』は、これまで多くの人に影響を与えてきたことは間違いない。

 その衝撃からお笑い芸人を目指したこと、生き方が変わったことなどを公言する後輩たちも多数存在する。そんな尊敬する大先輩の一連の騒動に、幻滅した後輩などはいないのだろうか。前出の放送作家は、「それはいないのではないでしょうか」と断言する。

「『遺書』は、当時の松本さんの感覚ではありますが、めちゃくちゃなことばかり書いてあります。そのあとも聖人君子として活動されてきた方ではないので、少なくとも『遺書』を読んでその考え方に憧れたり影響を受けた芸人さんが幻滅したとしたら、『遺書』をどう読んできたんだと」

 とはいえ、裁判こそ終結し、ゆくゆくは復帰の可能性もあるとはいえ、ライト層を含む世間のネガティブな反応は今なおここですべてが「終結」とはなっていないことは確かだろう。

 実際に、「松本人志復活!ですなぁ。いいねーーーー!」とポストした三村マサカズや、「松本さん!!ダウンタウンが戻ってくる!!やっと!!嬉しすぎ!!ランジャタイ国さんの眉毛が生える!!!」とポストしたオズワルド伊藤に批判的な意見が殺到するなど、第三者の反応の難しさはまだまだありそうだ。

◆松本人志が最初に発する言葉に注目したい

「#松本人志をテレビに出すな」というハッシュタグをつけ投稿する動きすら見られ、松本人志の復帰自体に嫌悪感を持つ人も一定数存在することも確かな事実だ。

「記事が出てから現在までの間に、松本さんが社会的制裁を十分受けたかどうかを世間に知ってもらい、それをどうとらえてもらえるかに注目していきたいところですね。

 地上波民放などの場合は、スポンサーの問題がどうしてもあります。裁判の集結を経て、Xなり会見を開くなり、松本さんが最初に届ける言葉や姿勢がどのようなものなのか。それによって、『こういう人だから』とある程度の理解をみせるファンも含めて大きく変わる気がします」

 局ごと、番組ごとの対応については旧ジャニーズ問題に近いものとなりそうだとみる。

「たとえば『水曜日(のダウンタウン)』あたりは松本さんが出演している映像を普通に流したりしますし、地上波の民放に関しては、番組ごと、スポンサーごとに反応は違うと思います」

 そもそも順調に活動再開そのものが実現するのか、松本にその意思があるのかもまだ分からない状況ではある。

 確かなことは、まだまだ気が早いということ。少なくとも影響力の強いタレントや芸人、インフルエンサーなどは、すぐに思ったことをポストせず、慎重にし、思わぬ飛び火を招かないほうが得策、といったところだろうか。

<文/太田サトル>

【太田サトル】

ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。