多くの企業で導入されている「1on1ミーティング」。しかし、実施頻度や効果が不十分となり、現実的な活動状態にない企業も少なくないようで……。本記事では、小川隆弘、氏による著書『成果が出る1on1 部下が自律する5つのルール』(ごきげんビジネス出版 ブランディング)から一部を抜粋・再編集して、1on1ミーティングの実態について解説します。
1on1ミーティングの実態
株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「1on1ミーティングに関する実態調査」(2022年4月)によると、約70%の企業で実施されています。ただ残念なことに、実施頻度や効果は不十分なようです。1on1には適切な頻度があり、職種などによって異なりますが、一定頻度で実施しないと効果は見られないでしょう。私の場合は月2〜3回で、多くは1回20〜30分でした。一般的には月1〜2回の企業が多いようです。
なお、本連載では「1on1」と「1on1ミーティング」は同じ意味としています。また、株式会社ビズヒントが実施した「組織の1on1に関する調査レポート」(2022年11月)によると、1on1の実施頻度は、不定期が32.0%、2〜3か月に1回程度が23.2%、という結果でした。これは1on1を導入した企業の約半数が現実的な活動状態にない状況と考えられます。
その背景を考えますと、時間がない、一般的な面談と混同している、1on1のスキルがない、テーマがない、何を話していいかわからないなど、さまざまなことがあるのではないでしょうか。
2〜3か月に1回程度だと、期首面談や中間面談と同程度の頻度です。また、実施したことにしている場合も見られるようです。1on1が抱える、もうひとつの側面が見えてきます。昨今では、1on1支援ツールも数々登場しています。こういった背景をもとに必要とされているのかもしれません。
コロナ禍の上司・部下コミュニケーションへの影響
前述の株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「1on1ミーティングに関する実態調査」(2022年4月)によると、1on1の導入企業の約6割が3年以内に導入した、という結果になっています。
1on1が広く知られるようになったのは、2017年に発売された書籍『ヤフーの1on1部下を成長させるコミュニケーションの技法』(著・本間浩輔、ダイヤモンド社)の影響もあるようです。以降、導入を検討し、その結果、導入に至った企業が多いため、3年以内に導入した企業が多くなっていることが考えられます。
つまり、1on1を導入して1〜2年経たないうちにコロナ禍に突入してしまった、という現状です。上司・部下のコミュニケーションを改善しようと導入したものが、コロナ禍の影響でリモートワークが多くなり、コミュニケーションはさらにむずかしくなったのです。リモートワークや在宅勤務も一定の割合で実施されているため、オンライン形式での1on1のポイントも把握しておく必要があるでしょう。
小川 隆弘、
キャリアコンサルタント、コーチ、研修講師
※本記事は『成果が出る1on1 部下が自律する5つのルール』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。