値引き交渉をされると、つい怒りが湧いてしまうことはありませんか? 「この人はどうしてこんなに図々しいのだろうか」と感じてしまうこともあるかもしれません。研修講師として25万人以上にアンガーマネジメントを指導してきた戸田久実氏は、怒りを冷静に扱い、伝えるべきことはしっかりと伝えることで、信頼関係を深めるきっかけを作れると話します。本稿では、戸田氏の著書『アンガーマネジメント大全』(日経ビジネス人文庫)から、値引き交渉をスムーズに進め、スマート断る、または交渉を優位に進める方法について一部抜粋・編集して紹介します。

線引きラインを“あらかじめ”持っておく

Q:金額の値引き交渉をされると、フツフツと怒りがわいてきます。

A:OK・NGの線引きラインを明確にしよう

相手の希望をいったん受けとめ、値引きできない場合と判断したら明確な理由を伝えましょう。

値引き交渉をされると、「どうしてこの人はこんなに図々しいのだろうか……」 「なんでこんなに値引きの交渉をされなければいけないの?」と怒りがわいてしまうこともあるでしょう。 

値引きに関しては、「この場合はどこまでならばOKで、どこからは応じられない」という線引きのラインを明確に持っておくのがおすすめです。そして、「申し訳ないのですが、この金額以上は交渉に応じることはできません」「〇〇という理由があり、お引き受けすることができかねます」とはっきりと伝えられる用意をしておきましょう。

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値引きをする側の心理とは

関西人の友人のなかには「値引き交渉をしなければいけない」という性分を持ち合わせている人もいます。高級ブランド店でさえ、値引き交渉をするという人もいました。こういった人たちにとって、値引き交渉は挨拶のようなもの。世のなかには、相手に関わらず、気軽に値引き交渉をする人もいるのです。

こういったやりとりを間近で見て感じるのは、値引きの話が出た途端に「何この人!」とひどくムスッとした顔をしたり、即座に相手を否定したりする人は、その場の雰囲気をとても悪くしてしまうということです。たとえ驚いたとしても、場を壊すことなくスマートに対応できるようになるのが理想的です。

たとえば、相手の希望をいったんは「〇〇円でということですね」と受けとめつつ「こういう理由でこれ以上の値引きは難しいのです」と返答できると、その場の雰囲気を壊すことなく、こちらの意向を伝えられます。

もしくは、多少値引きができるのであれば、「本来はお受けしないのですが、お客様には特別に……」という伝え方で値引きをしたり、「値引きは難しいのですが、このようなオプションをつけることはできます。いかがでしょうか」と返答したりするのもよいでしょう。