ラブホ清掃員が驚く“迷惑な客の放置物”。あまりの惨状に「事件性を疑ったことも」

 リゾートホテルや高級旅館のような内装にもかかわらずリーズナブルな価格設定のラブホテルが増え、積極的に利用している人も多いのではないだろうか。今回は、そんなラブホテルでの一風変わった迷惑行為について紹介したい。

◆ラブホの部屋に置かれた意図的な忘れ物の数々

  

 少し変わった迷惑客の行為に遭遇したのは、以前にも話を聞かせてくれた、長年ラブホテルの清掃員として働く篠原恵美さん(仮名・40代)。けれど、その客の行為を迷惑だと思いつつも、その迷惑客には「できればもう一度ラブホテルに来てほしい」と話す。

「ラブホテルにはカップルだけでなく、不倫やお店の嬢を呼ぶなど欲を発散させるためだけに利用している人も多いようで、持ち帰れないようなモノを置いて帰る人も結構います。よくあるのは、ラブホ内で購入した大人のオモチャやコスプレグッズです」

 また、「稀に、そういったプレイを楽しんだのかベッドのシーツや浴槽に赤いロウが固まっていたり、吐しゃ物や排泄物などが放置されたりしていることもあり、そんなときは掃除が大変。引き裂かれた洋服が残されていて、事件性を疑ったこともあります」と、篠原さん。

「すぐに防犯カメラを遡って確認したところ、2人がラブラブでラブホをあとにする様子が映っていたのでホッとしました。ほかにも、体液らしきものがべっとりと付いたシワくちゃのお札や浣腸用の注射器、明らかに家庭で出たと思われるゴミを置いて帰る人もいます」

◆ゴミの処分もタダじゃない

 そのような放置物には頭を悩ませていて、「置いて帰るつもりで持ち込んだモノは、不法投棄といっても過言ではないと思います。ゴミを処分するのにもお金がかかるし、本当にすごく迷惑。ひどい場合には、本人を特定して注意することもあります」とも話す。

「使用済み避妊具の口を縛らずベッド周辺に放置して帰る人、コンビニなどで買い込んだ大量の空き容器を床にまき散らしたまま帰る迷惑な人もいます。印象に残っているのは、ある女性客が持ち込んだ処分にも困るし、大丈夫かとヒヤヒヤした放置物です」

 放置物を発見したのは、掃除のために利用後の部屋に入室したときのこと。部屋に入るとビリビリに破られた紙や写真が部屋中にまき散らかされ、なかには、「騙しやがって、死ね!」「死ね!死ね!」と書いた文字を上から乱雑に塗りつぶした紙も複数枚…。

「ひとりで来たその女性は、泊まり利用でした。ひとり利用のお客さんは稀に、自殺未遂や危険ドラッグ使用、薬物の売買や店の嬢・出張ホストとのトラブルなどもあるため注意しています。そのため、女性客の部屋に入ったときも驚きはしませんでした」

◆持ち主の身を案じたことも

 篠原さんが驚いたのはそのあと。室内には、彼氏との写真や彼氏のことをしたためた日記が開かれたまま放置され、そのうちの複数枚は破られていた。すぐに、床の散乱物の一部がこの破られた日記の紙だということに気づき、拾いながら目を通していったとか。

「序盤ラブラブな日々が綴られていた日記は、終盤ドロドロでした。結婚の約束までしていた彼氏の正体は、既婚者で遊び人。そのうえ男性の妻に関係がバレ、慰謝料も請求されているとか。日記の下には、涙なのかボヨボヨになった紙に殴り書きされた書置きもありました」

 そこには、「よく利用していたラブホに一人で来ました。彼との思い出を全部、捨てさせてください」との文字が。そのため、「彼女が心配です。嫌な思い出のある場所に足は向きにくいでしょうが、当ラブホで新しい彼氏と楽しい思い出を作ってほしいです」と、篠原さん。

「女性客のように心配になるようなモノはもちろん、ゴミや汚物などを放置して帰るのはやめてほしいです。掃除や廃棄費用は、タダではありません。ゴミを置いて帰るような迷惑な人が増えてしまうと、対処するための費用を上乗せせざるを得なくなってしまいます」

 パートナーとの楽しい時間を過ごしたり、旅行や出張時のホテル代わりに利用したりと、昔に比べて活用の幅が広がったラブホテル。今後もリーズナブルな価格でサービスを提供してもらえるよう、客である私たちもマナーを守って気持ちよく利用したいものだ。

<文/山内良子>

【山内良子】

フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意