兵庫県知事選で斎藤元彦氏(47)が再選を果たし、斎藤氏のパワハラ疑惑などを検証する同県議会の文書問題調査特別委員会(百条委員会)が今度どうなるか関心が高まっている。
調査権限が強く、ウソの証言には罰則もある百条委は、2024年6月14日にスタートし、知事選前の10月25日まで計11回開かれた。
百条委が再開され、斎藤氏に出頭を求めることが決まる
焦点は、元西播磨県民局長が文書で告発した疑惑7項目だ。
斎藤氏は、8月30日と9月6日の計2回、証人尋問を受けた。
1回目は、公用車を降りて20メートル歩かされただけで出迎えた職員らを怒鳴り散らした、といったパワハラ疑惑が主に取り上げられた。議員らの追及に対し、斎藤氏は、「不快に思った人がいれば心からお詫びしたい」と陳謝したが、自らの言動については、「円滑な車の進入経路を確保していなかったことを注意した」などとして必要な指導だったと強調した。机を叩いて職員を叱責したことへの質問も出たが、斎藤氏は、パワハラかどうかの明言は避けた。
2回目は、斎藤氏のおねだり疑惑についても取り上げられ、贈答品の多くは、知事応接室か倉庫に保管し、食べ物は家に持ち帰ったと認めたが、メーカーなどとの癒着は否定した。また、持ち帰った後に返却したとされる高級革ジャンについては、いつかPRに使いたいと考えて試着させてもらったなどと説明した。元県民局長が公益通報をした後に県が停職3か月の懲戒処分をしたことにも質問が出たが、「文書は誹謗中傷性が高く、うわさ話であり、公益通報にあたるとは思っていなかった」と釈明した。
一方、プロ野球球団の優勝パレードへの寄付金集めで、金融機関に補助金をキックバックさせたとされる疑惑については、10月24、25日の証人尋問は知事選への影響を考えて見送りになった。
11月17日の知事選では、斎藤氏が110万票余の得票を得て再選され、18日から百条委が再開された。この日は、25日の証人尋問が議題になり、斎藤氏に出頭を求めることが決まった。
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県議会が再び不信任決議をする可能性は?
県議会の議事課は11月18日、J-CASTニュースの取材に対し、25日以降の日程は決まっておらず、年内に調査報告を出す予定だったが、知事選が入ったため、後にずれる見通しだと答えた。
パワハラやおねだりについて、中間報告をするか決まっておらず、まだ認定もしていないと説明した。斎藤氏が再選した影響については、「事実関係だけを調査していますので、当選しても結論には影響しません」と述べた。
斎藤氏の疑惑については、弁護士6人でつくる第三者委員会でも、9月18日の初会合から調査が始まった。斎藤知事から事務委任を受けた県監査委員事務局は11月18日、取材に対し、第三者委は、外部機関として調査してもらっていると説明した。弁護士会から推薦を受けたメンバーで、非公開で随時会合を開いており、25年3月上旬ごろに報告書をまとめるという。報告書については、公開され、メンバーが記者会見する予定だとしている。
元県民局長は4月に県に公益通報しており、その窓口になっている県の県政改革課は18日、パワハラなどの疑惑については、調査中だと取材に答えた。もし事実だったときは、是正措置を取るとしているが、公表するかについては、未定だとした。
ところで、百条委などで斎藤氏のパワハラなどが認定されたとしても、県議会が再び斎藤氏の不信任決議をすることはありえるのか。
この点については、報道によると、議会では、「よほど新たな事実がない限り、出すのは難しい」「民意を得て再選された結果は真摯に受け止めないといけない」との声が各会派から出たという。もし不信任になれば、斎藤氏が議会を解散する強硬手段に出ることも予想されるだけに、現状では、斎藤県政が当面は続きそうな気配だ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)