秋の行楽シーズンを迎え、週末に車で移動する人が多くなる季節となった。人気がある観光スポットでは大渋滞も頻繁に起き、ドライバー同士のトラブルも急増してしまう。そんな、観光地での交通トラブルに遭遇したのが、東京都に住んでいる会社員の小宮智春さん(仮名・29歳)だ。小宮さんは、奥さんとともに栃木県の紅葉スポットへ愛車でプチ旅行を計画した際にトラブルにあったという。何とも不運なトラブルは、紅葉スポットの駐車場で起きたのだとか。
◆駐車場に入るのに「3時間待ち」
「日本有数の紅葉スポットだったので、なるべく早く現地につくように移動したのですが、すでに朝9時の時点で周辺の道路は大渋滞していました。紅葉が見られるスポットには駐車場があるのですが、そこに向かっておよそ3時間待ちという状態。東京を出たのは7時ころで、もう少し早く出ればよかったねと話しながら、駐車場が空くのを待っていたんです」
小宮さんが向かった紅葉スポットの駐車場は、多くの車を停められる巨大な施設だったが、ハイシーズンの週末ということもあって大渋滞を起こしていたという。道が細くUターンして戻るのも一苦労で、我慢強く駐車場が空くのを待っているしか無い状況だったとか。
「かなり待つだろうと思ってお菓子を持ってきたり、準備は整えていたのでそれほど苦ではありませんでした。運転を妻と代わることもできるので、数百メートル先の駐車場のトイレも使えたし、気長に順番が来るのを待っていました。道中もすでに紅葉していてきれいでしたし、車の中で待っている間も旅行だと思い楽しくやっていました」
◆突然、反対車線から割り込まれてしまい…
長期戦も予想して準備万端だった小宮さん夫妻は、駐車場の予告通りに3時間ほどすると入口付近まで辿り着けたという。しかし、やっと駐車場の入口に差し掛かった時に、思わぬ交通トラブルに巻き込まれた。
「次は自分たちの番だという時に、いきなり反対車線から割り込みの車が入ってきたんです。自分たちが利用した駐車場は、紅葉のシーズンには反対車線から入れないように警告が出ていたのですが、割り込んできた車はお構いなしに突っ込んできた。駐車場の誘導員もダメだと警告して運転席に向かったのですが、そのドライバーは窓も開けずに無視してジリジリと車を駐車場に入れようとしている。こちらの車も駐車場の入口に乗り上げていたのに、スレスレのところまで車を寄せてきて……」
◆「安い車に乗っているくせに生意気」と暴言
無法者のドライバーは、50代半ばくらいの中年男性で助手席には同年代の女性も乗っていたそうだ。同乗者は注意するわけでもなく、小宮さんの車が下がれと言わんばかりにこちらを睨みつけていたという。
「普段ならばおかしな連中に付き合いたくないので譲りますが、さすがに3時間待っていたので我慢できませんでした。これは入れてはいけないと思って、こちらも駐車場に車を入れようとしたんです。そうしたら、その車は急発進して駐車場の入口に入ってしまった。誘導員も怒っていましたが、反対車線もこの車のせいで大渋滞していてバックで戻ることも出来ない状態に。仕方なく、われわれも誘導員も諦めて、その車を駐車場に入れたんです」
あおり運転など、中高年のドライバーによるルール無視の運転が社会問題化している昨今。小宮さんも意外な形でトラブルに巻き込まれてしまったようだ。
「幸い、すぐに他の車が出庫して駐車場に入れたのですが、停車してからもまさかのトラブルが待っていました。さっき突っ込んできた男女が歩み寄ってきて、因縁をつけてきたんです。こちらの車が進路妨害したと主張するのですが、そもそもこのシーズンは反対車線から入庫は禁止ですよと諭しました。こちらが冷静に返したのが気に食わなかったのか、激昂して安い車に乗っているくせに生意気だと無茶苦茶な暴言を吐いてきたんです。
妻も危険だと思ったのか、動画で撮影しだしたら今度は女が妻に掴みかかってスマホをはたき落としたんです。そんなとき、われわれの後続車だった男性が異変に気づいて駆けつけてくれ、割り込みしたほうがおかしいんだと加勢してくれた。その男性は、警察にも通報してくれて何かあれば証言すると名刺まで置いていってくれました」
◆警察に証拠の動画を見せ、被害届を出すことに
とはいえ、大渋滞を起こしている観光スポットでのトラブルで警察も駆けつけるのに時間がかかり、結局は1時間近く駐車場で警官の到着を待つことになった。
「通報されてビビったのか、相手はその場から立ち去ったのですが、車のナンバーを撮影し保存しておいたのが功を奏しました。警官が到着すると事情説明し、妻が掴まれスマホを叩き落される映像も見てもらいました。そんな時に、呑気にその2人は自分の車に戻ってきたんです。これだけ騒ぎを起こしているので逃げたのかと思ったら、中年カップルは紅葉をしっかり楽しんでいたみたいです(笑)。妻は、警官から暴行の訴えを出すか聞かれ、このまま2人を野放しにするのもしゃくなので面倒ですが手続きをお願いしました」
◆「示談にしたい」と言われるも、断固拒否
傍若無人なドライバーはその後、警察署でみっちりと事情聴取を受けたそうだが、小宮さん夫妻は紅葉を楽しむどころではなかったとか。
「最悪の気分で東京に戻ることになりました。後日、騒動を起こした中年カップルは謝罪して示談にしたいと言ってきましたが、こちらは頭にきているので弁護士を雇って訴えることにしました。紅葉が見られなかった恨みがあるので、徹底的に懲らしめようと思います」
混雑する観光地では、小宮さんが出会ったようなおかしな連中に遭遇しやすくなりトラブルに巻き込まれる可能性もある。われわれも小宮さんの被害を人ごとと思わず、もしもの時に行動できるような心構えを持っていたほうが良いかもしれない。
<TEXT/高橋マナブ>
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている