―[ゼロ恋愛 〜経験値ゼロから学ぶ恋愛講座〜/堺屋大地]―
こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
筆者はLINE公式サービスにて、年間約1000件のペースでチャット恋愛相談を受けています。また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがってきました。
2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。
◆結婚観のアップデート、できていますか?
さて、昭和生まれの男性も平成生まれの男性も、現在「婚活中」という人はたくさんいると思いますが、時代が移り変わって来るにつれて、結婚相手や結婚生活への標準的な価値観もかなり様変わりしてきています。
一昔前ならば“よき夫”になりそうだと思われるような発言も、令和のいまだとだいぶ違和感があり、結婚観のアップデートが追い付いていないのではないかと思われてしまうこともちらほら……。
そこで今回は、一見すると問題のなさそうな言葉ながら、いまの時代背景に照らし合わせるとちょっとヤバめだという、結婚観に対する独身男性の発言を3つご紹介していきます。
◆①「毎晩、妻の手料理で家族団らんしたい」
昭和の時代ならば、仕事が終わったら寄り道せずに帰宅する“よき夫”と認定されそうな発言ですが、令和のいまだとヤバい要素が複数ある発言と言えるでしょう。
第一に、妻(女性)が料理を作ることを当然のように言い放っているところ。いまの時代は、料理をはじめとした家事を夫婦で分担するという男女平等の価値観が浸透してきているにもかかわらず、です。裏を返せば、自分が家族のために料理を作るつもりはさらさらないようにも聞こえます。
次に「毎晩」ということは、妻に家事業の休みを与えるつもりはなく、毎日働くのが当たり前という考え方が透けて見えるのです。
好意的に解釈すれば、浮気の心配のない”誠実夫予備軍”になりそうとも考えられますが、料理をはじめとした家事をしていないと、不満をあらわにして詰めてくるような“モラハラ夫予備軍”とも言えるのではないでしょうか。
夕飯をスーパーやコンビニの弁当にしたりデリバリーサービスで注文したりするだけで、「自分の仕事もろくにできない」というようは嫌味を言われてしまう、「妻失格・母失格」の烙印を押されてしまうとしたら、その結婚観に耐えられる女性は少ないでしょう。
◆②「ケンカが一切ない穏やかな夫婦でいたい」
こちらは、1つめの「毎晩、妻の手料理で家族団らんしたい」ほどヤバさがわかりづらく、もしかすると温和で争いごとが嫌いな男性で、素敵な結婚観を持っているように感じるかもしれません。
たしかにお互いが不満なく我慢もしていない状態で、ケンカが一切ないのであれば、それは理想的な夫婦像と言えるでしょう。
しかし、あくまで“理想”にすぎません。現実的に考えた場合、双方に不満が一切なく満足な生活を送れている夫婦なんて、100組中1組もいないのではないでしょうか。
要するにその発言は“高すぎる理想”なのですが、実は表面的に実現しているテイにすることは、意外と難しくないのです。そう、どちらかに不満があったとしても、さも不満がないかのように振る舞い、我慢し続ければ表向きは「ケンカが一切ない穏やかな夫婦」になれるからです。
そのため「ケンカが一切ない穏やかな夫婦」を目指す男性は、相手に不満を言わせない空気感を作ったり、不満を漏らされるとそれが悪いことのように糾弾したりする可能性があるでしょう。そして、それがモラハラになることもあるかもしれません。
結論を言いますと、100組中1組の奇跡的に相性のいい夫婦以外は、不満を溜め込まずにちゃんと言い合ったほうがいいし、ときにはそれが発端でケンカになってもいい。そうやってお互いの不満を我慢せずに解消していくことで、双方が心地よい関係になれるようにアジャストしていけるからです。
もちろんお互いに指摘し合っていき、ときにはケンカをしてでも、最終的に不平不満のない穏やかな夫婦になれるのであれば素晴らしいですが、最初から「ケンカが一切ない穏やかな夫婦」を目指しているとしたら、ヤバいということです。
◆③「ずっと恋人同士のようにラブラブでいたい」
こちらも一見すると愛情豊かな“よき夫”になりそうな発言ですが、やはり高い理想を追い求めすぎているあまりに、現実から乖離した考え方とも言えます。
お互いにずっと恋愛感情が高いままで、付き合いたての恋人同士のような関係性を何十年と維持できるのであれば、このうえなく素敵なことです。
ただ現実を見れば、ひとつ屋根の下でずっと共同生活を続けていくわけですから、双方が高い恋愛感情をキープしたまま何年、何十年といられるのはレアケース。
恋愛感情がゼロになるわけではないですが、多くの夫婦が恋愛感情は薄れていき、そのぶん家族愛にスライドしていくものだからです。
何十年連れ添っていてもラブラブな夫婦も稀にいますので、そんな夫婦像を目標にしておくのはいいかもしれませんが、その目標を達成することは非常に難しいということは、独身のうちからきちんと認識しておくべき。
もし、ずっと恋人のようにラブラブでいることを、夫婦関係を続けていくうえでの絶対条件のように思ってしまっていると、少しでも恋愛感情が薄れてくると「即・離婚」という選択肢が出てきてしまうのではないでしょうか。
◆一昔前は問題視されなくても、いまはダメ?
今回紹介した3つの発言に共通しているのは、理想が高すぎること、そしてその理想に固執している雰囲気が滲み出ていることではないでしょうか。
一昔前までは、特に問題視されないような結婚観についての発言でも、現在は強烈な違和感を覚えられてしまうこともあるので、婚活中の独身男性は常に価値観のアップデートをしていくことを心掛けてください。
<文/堺屋大地>
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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi