4割の問題は「解けなくていい」

ボーダー(合格最低点)を確保できれば合格できる東大の二次試験の得点ボーダー(合格最低点)は、多くの科類で約6割です。これは言い換えると、4割の問題は解けなくてもいいということになります。

平均的な問題を確実に得点して6割を確保し、難しそうな4割の問題を見極めて捨てる。この思考ができるだけで、合格はかなり近づきます。このことからも、試験開始時に全体像を把握することがいかに重要か分かっていただけると思います。

以前、東大模試で1位を取った人が東大に落ちたと聞きました。その人は毎回模試で高得点を取れるので、解く順番を意識しておらず、1から順番に問題を解いていくスタイルでした。

しかし、その年の数学の1問目が誰も解けないくらい難しい問題で、その問題を飛ばさずに取り組んだがゆえに、その人は不合格になってしまったそうです。いくら成績優秀な人でも、どこに落とし穴があるか分かりません。

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「過去問研究」で、ベストな時間配分を探す

試験問題の全体像を把握できたら、次に注意すべきは、ズバリ「時間配分」です。

みなさんは受験生活のなかでだんだんと「1つの問題に集中して取り組む」ことができるようになってきます。しかし、この力は短所になってしまうこともあるのです。

1つの問題だけに時間をかけすぎないようにするためには、問題をざっと流し見したときに、どの問題にどのくらいの時間をかけるのか自分の頭のなかで決めておく必要があります。

もちろん、解き始めたら意外と計算量が多くて、少し多めに時間がかかってしまうこともありますので、決めた時間を少しでも過ぎたら途中でも解くのをやめる、という必要はありません。ですが、ある程度の目安を自分で決めておかないと1つの問題から抜け出せなくなってしまいます。

私も受験生のときは「時間配分」ができない人でした。高3の春に受験した記述模試の数学で、当時自分が自信を持っていた整数論の問題が前半に出てきたので、その後の問題を見ることなく取り組み始めたら、自分が思っているよりも難しく、なんと試験時間の半分以上を費やしてしまいました。

当然、ほかの問題には手が回らず、東大合格には程遠い悲惨な点数を取ってしまったのです。

では、どのようにして時間配分をできるようにしたかというと、それは「過去問研究」です。

苦手意識のある英語、国語は過去10年分、日頃から基礎問題を中心に勉強した上で、しっかり時間を測って取り組みました。自分が好んで勉強できる数学、物理、化学はそれぞれ25年分時間を測って解き、解説を読みながら、解法やどのくらい時間をかけるのが妥当だったのかを研究しました。

そして、自分のなかで「この問題はこれくらいの時間で解くのだ」というペースが確立したのです。

まとめ…勝負において一番大事なのは、「相手を知ること」

勉強に限らずあらゆる勝負において、一番大事なことは「相手を知る」ことです。

受験生が自分の志望校の過去問を何十年分も解くのは、少しでも「相手=志望校の入試問題」を知るためです。そして相手を知ることができれば、それに対してどのような対策をとればいいのか、自分の戦略を明確にすることができます。それが「入試戦略思考法」です。

西岡 壱誠

株式会社カルぺ・ディエム

代表