自分の体を自分でよくするために、毎日家でできる動きの「きくち体操」創始者の菊池和子さん。15年以上にわたり雑誌「ハルメク」で体の作り方と、その生かし方を教えてきてくれました。便利な現代に生きる日本人へのメッセージとは?
きくち体操教室が生まれ、広がっていった経緯
――「創始者・菊池和子さんが語る、きくち体操を始めた理由」でもご紹介した通り、母親仲間から「体操を教えて」と請われ、団地の集会所で体操を教えるようになった菊池和子さん。数年後には口コミで広まって、生徒は100人くらいに増えました。さらに横浜市の要請で、横浜文化体育館で「健康になるための体操」を教えることになったそうです。
私はマットも跳び箱も使わず、これまで通りに教えました。元体育教師だった私が、体の仕組みをわかりやすい言葉で説明すると、みんな両手で自分の体を抱きしめて、感動して聞いてくれたものでした。
そして、動かしていかなければ、生きていかれないと改めて認識してくれました。体について説明する時間が長いので、他の体育教師からは変な教え方をするんじゃない、とずいぶん非難されました。でも参加してくれた方々の体は正直で、どんどんよくなっていってくれました
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実感する体力低下「今の日本人の弱りぶりは切なく悲しい」
毎日の授業以外の仕事もたくさん。原稿の執筆など、デスクワークも少なくありません
きくち体操の基本のやり方である、手や足のグー・パーや腹筋、足首回しは今も昔も変わりませんが、当時は私も生徒さんも若かったのでもっと激しい動きもありました。でも、今はもうそんな動きは教えていません。私自身が年齢を重ねたこともありますが、若い人でも日本人の体がどんどん弱ってきたというのが大きな理由です。
昔と比べたら、本当にみんな体を動かさなくなりました。階段を使わずエレベーター、ちょっとの距離でも歩かずに車。これでは体は弱らざるをえません。私は、ずっと生徒さんたちを通して体の移り変わりを見てきたので、今の日本人の体の弱りぶりは切なく悲しいです。