コンテストガーデンD 【入賞】
feeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~
【日向のエリア】
開花期を迎えていた植物 ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’、アスター‘ジンダイ’、ダンギク、ソバ
【日陰のエリア】
開花期を迎えていた植物 シュウメイギク‘クイーンシャルロット’、ホスタ、ユーパトリウム‘チョコレート’
【今回の庭づくりを振り返って】
温暖化する都市環境に耐えられる在来種と、日本の草原・里山の雰囲気をもったポップな印象を与える植物を組み合わせました。春~初夏にかけてかわいらしかったガーデンが、夏~秋にかけてだんだん落ち着き侘びていくよう、四季を通して移ろうように計画しています。アスター‘ジンダイ’や麦・蕎麦などで地域らしさを出して、植物に興味のない方や子供たちにも興味を持って見てもらえました。
虫や蝶などの生き物を呼ぶことができ、ガーデン内に生態系が生まれました。その反面、食害にあった植物がありましたが、真夏前に花をつけている株を含め切り戻したことで、株が大きなダメージを受けず秋まで宿根草の見栄えを保つことができ、三番花まで咲く種類もありました。とくに日陰側では、低木を骨格にしてツワブキやシダなどのオーナメンタルな宿根草を用いたことで、葉の形や色の重なりを表現できた上に、ローメンテナンスな管理ですみました。
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コンテストガーデンE 【審査員特別賞】
武蔵野の“これから”の原風景
【日向のエリア】
開花期を迎えていた植物 ハギ、カライトソウ、タムラソウ、シラヤマギク、ヒヨドリバナ
【日陰のエリア】
開花期を迎えていた植物 キバナノアキギリ、ヒヨドリバナ
【今回の庭づくりを振り返って】
武蔵野の“くさはら”の昔の風景を取り入れ、そこに思いを馳せることで、過去と未来をつなぐ新たな視点を提案しました。都市緑化では生物多様性を意識し、都の「在来種選定ガイドライン」に基づいた植栽が数多く計画されていますが、草原のような景観はあまり重視されていないのが現状です。私の理想は、風景の中で目立つ存在ではなく、背景として人々や生き物が共存できる空間を作ることと、それらに愛着を持ちともに語らう人々が増えること。今回、日本の野草の魅力を語る場を設けられたことは、ひとつの成果だと捉えています。
コンセプトを重視して初めて育てる植物を多数導入したため、配置や密度の調整が難しく、イメージ通りの景観を作ることができなかった場所も多くありましたが、メンテナンスは月1回と、計画通りにローメンテナンスで管理できました。これからも東京の風景を模索し続けたいです。
第2回 東京パークガーデンアワード
https://www.tokyo-park.or.jp/special/kadan/jindai/
事務局:東京都公園協会
Credit
写真&文 / 井上園子
– ライター/エディター –
いのうえ・そのこ/ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
撮影 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。