IT職種に就く人はもともとITやインターネットが大好き

――一方、「IT/通信系エンジニア」や「モノづくり系エンジニア」も上位に入っていますね。この理由は何でしょうか。

桜井貴史さん 「IT/通信系エンジニア」は「仕事内容」「給与・待遇」の点数が高いです。「システムが完成した時の達成感が大きい」「評価・昇格・昇給のどれも満足している」という声が多いです。また、「職場環境」では「フルリモートで楽だから」など、コロナ禍以降もリモートワークが可能な職場環境を高く評価するコメントも見られました。

「ものづくり系エンジニア」では、「自分のやりたい分野の仕事ができており、スキルも活かせている」「有休が取りやすく、残業が少ない職場なので満足している」など、やりがいや働きやすい環境を評価するコメントがみられました。

――IT関連はいま人気職種になっているのですね。

桜井貴史さん コメント以外から私なりに人気の理由を考察すれば、IT職種に就く方はもともとITやインターネットが大好きなのだと思います。

自己研鑽も楽しみながら取り組める思考の方が多く、そこにやりがいを感じているのでしょう。しかも、業界の将来性があり、転勤リスクも低く、働きやすい環境をかなえられているとなればなおさらです。

――もともと好きなうえに、やりがいまで得られれば最高ですね。

桜井貴史さん 特に今回は、自身の関与した制作物がどのようにユーザーから活用されているか、また、使用した個人からのフィードバックを受けやすい「Webエンジニア」や「社内システムエンジニア」などが上位にきており、やりがいや達成感が満足度に繋がったのではと推測します。

なお、「品質管理」は、サービスの品質が利用者の満足度にも直結することから昨今重要性が高まっています。社会貢献性を感じやすいことが満足度につながっているのではないでしょうか。

「モノづくり系エンジニア」のうち3職種が上位にランクインした理由は、担う業務の技術レベルが年々高まり、企業からの投資も増えている領域なので、やりがいが大きいことが関係していると考えられます。

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「不正品質問題」で脚光を浴びる職種が人気に

――なるほど。ところで総合満足度2位の「基礎研究/先行開発/要素技術開発」とはどんな仕事ですか。

桜井貴史さん 10年後、20年後の製品化を視野に入れ、新しい技術や仕組みを研究する仕事です。現在はEV自動車が一般化してきましたが、さらなる進化を目指して製品づくりに関わっている人もいるのではないでしょうか。

将来的に自身が手掛けた製品が世に出ることにワクワクし、やりがいを感じる人が多いのだと思います。ここ数年で中途採用が増えた分野です。求められるスキルや業務内容が明確になっていることも達成感を得やすい一因でしょう。

――「評価・実験・デバック」という、聞きなれない職種が5位にきていますね。

桜井貴史さん これは、設計過程を経た製品の試作品の操作やシミュレーションを繰り返すことで、強度や安全性を担保する仕事です。昨今不正品質問題がニュースで取り上げられる機会が増えており、企業が品質強化のために投資をしている領域です。それだけに、やりがいを感じる人が増えていると考えられます。

18位の「製品企画」は数年後の製品化を見込んで、既存の自社製品のバージョンアップを考える仕事です。技術発展を見据えるとアイデアの幅も広がりやすく、今後求められるものをサーチし、企画構想していくことに楽しみを見出す人も多いのではないでしょうか。