紅葉シーズンの京都をゆったり歩くおすすめコースをご紹介。初回は、有名社寺や美術館などが集まる岡崎エリア。京都随一のアカデミックエリアは、各施設の外観を眺めるだけでもワクワクするコースです。



紅葉シーズンの京都は見どころがいっぱいですが、人混みを避けて回れるルートを知っておけば、さらに街中ウォーキングが楽しめます。全3回にわたって、ゆったり歩くおすすめコースをご紹介。初回は、有名社寺や美術館などが集まる岡崎エリア。京都随一のアカデミックエリアは、各施設の外観を眺めるだけでもワクワクするコースです。

紅葉シーズンの穴場ウォーキングマップ

1 アカデミック&レトロな岡崎を歩く

2 紅葉の穴場が散在! 嵯峨野の裏道を歩く(11月27日公開)

3 酒どころと史跡をめぐる伏見コース(12月4日公開)

線路上を歩きながら紅葉狩り

スタートは、地下鉄東西線蹴上(けあげ)駅から。少しマニアックな「ねじりまんぽ」を通って、桜並木で有名な蹴上インクライン(傾斜鉄道)へと向かいます。「まんぽ」はトンネルを意味する古い言葉で、「ねじりまんぽ」は「ねじりのあるトンネル」です。上部にあるインクラインと斜めに交わる道路に合わせてトンネルも斜めに掘られ、強度を確保するため内壁のレンガが螺旋状に積まれているのが特徴。明治時代の土木技術を物語る貴重な遺産を通る際は、ぜひレンガのねじりにも注目してみてください。

トンネルを抜けてすぐ右手へ。そこから斜面を上がれば、長さ582メートルにわたる傾斜鉄道跡が遠くまで見渡せます。どこかノスタルジックな気分で線路上を歩きながら紅葉狩りができる穴場スポットをゆっくり進んだ先には、噴水が目印の南禅寺船溜。そこから京都市動物園を右手に歩き、目指すは界隈のシンボルとなっている平安神宮大鳥居。美術館と図書館に挟まれた広い参道は歩きやすく、目の前に広がる岡崎公園はひと休みするのにもってこいの場所です。

そこから二条通を西へ。途中にある細見美術館はどこか京町家のようでモダンな雰囲気が漂う館全体の建築も見応えがあり、無料で立ち寄れるショップには日本画モチーフのグッズや和のクラフトなどセンスのいい和雑貨が並びます。ちょっとしたお土産や記念の品を探すのも愉快なひととき。

二条通をさらに西へと歩き、鴨川に沿って南下していくと、これまでの自然に囲まれたゆるやかな空気感が一変し、洛中らしい町の風景が広がります。ここからはあえて賑やかな三条通をウィンドーショッピングがてら散歩してみては。三条大橋の西岸は「京の七口」のひとつである「三条口」にあたり、東海道・中山道に続く京の出入口のひとつとして古くからの交通の拠点です。江戸時代には東海道の西の起点だった三条通には、明治から大正の近代になると郵便局や銀行といった近代的なビルヂングが建てられ、京都のメインストリートとなりました。ゴールとなる京都文化博物館まで、レトロな歴史的建造物を眺めながら京都らしい街並みを愉しみましょう。

ウォーキングメモ

余力があれば、蹴上インクラインから南禅寺に足を延ばして、ドラマや映画のロケ地としても有名な水路閣(すいろかく)周辺を散策するのもおすすめです。界隈には京都市動物園や無鄰菴(むりんあん)など見どころも多いので、寄り道も楽しめますよ。疲れ具合に応じて、京阪三条駅や地下鉄京都市役所前駅をゴールにしてもいいでしょう。



イラスト/まるいみさき
写真・文/椿屋
デザイン/WATARIGRAPHIC