1日におよそ400社近くの法人が設立されている日本(東京商工リサーチ:2022年「全国新設法人動向」調査より)。起業は思っている以上に身近な存在です。中小企業の“平凡な事務員”として働く39歳の女性が年収を激増させた驚きのアイデアについて、事例をもとに詳しくみていきましょう。経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が解説します。

“忙しい現代社会”に隠されたビジネスチャンス

現代社会では「タイパ(※)」という言葉が生まれるなど、効率化や時短に対するニーズが高まっている。

※タイパ……タイムパフォーマンス(時間対効果)の略。費やした時間に対する満足度を表す。

この流れはビジネスの世界だけにとどまらず、共働き世帯が増加する昨今、家庭生活においても「効率よく家事をこなしたい」「忙しいなかでも自分の時間を確保したい」といったニーズが高まっている状況だ。

そのような背景から、近年では単に「手を動かして代行する」だけではなく、「方法(ノウハウ)を提供して他者の生活にプラスの影響を与える」ような、知識やスキルを“提供”するビジネスが注目されている。こういったビジネスは、「自分では当たり前」だと思っている習慣・工夫を商品化できるため、ある意味“誰にでもチャンスがある”といえるだろう。

そこで今回、中小企業で一般事務として働く女性が新たなビジネスを築き上げた成功例を紹介する。

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ルーチンワークを淡々とこなす日々

一児の母である山本麻衣さん(仮名・39歳)は、中小企業の一般事務として働いている。経理処理や備品管理、来客対応など、日々の仕事はほぼルーチンワークで、年収は350万円ほど。

麻衣さんは「仕事は生活費を稼ぐ手段」と割り切り、仕事に対してのやりがいは特に求めていなかったが、ある日友人とカフェで話していると「いまの年齢と仕事でこれ以上収入を増やすことができるのか」という話になった。

現状に大きな不満はないが、麻衣さんはもうすぐ40歳になる。子供が大きくなり、教育費がかさむようになる一方で、いまと同じような暮らしができるのか、どこか漠然とした焦りを感じた。