“習慣”がビジネスに?…きっかけは同僚の一言

昼休み、いつものようにデスクで自分が作った弁当を広げていると、麻衣さんは同僚から声をかけられた。

同僚「すごっ……麻衣のお弁当って、いつも手が込んでいるよねぇ。私には無理だ」

麻衣さんは同僚の言葉に困惑した。というのも、麻衣さんとしては“お弁当は手を抜いて作るもの”という認識であったからだ。それを同僚に伝えたところ「麻衣って仕事も手を抜かないし家事も育児もきちんとやっているみたいだし、どうやって両立しているの?」との返答が。

麻衣さん自身、特に工夫しているつもりはなかったためうまく返すことができなかったが、その質問が妙に頭に残った。

それからというもの、同僚や友人たちとの会話で「家事が効率よくできたらもっと自分の時間が増えるのに」といった言葉が耳につくようになった麻衣さんは、自分が普段無意識にルーチンとして行っている「家事」について、客観的に振り返ってみることにした。

週末にまとめて食材を下ごしらえして冷凍保存し、平日の負担を減らしたり、歯を磨きながら洗面台を拭いて、汚れを溜めないようにしたり……意識してみるとたしかに普段から小さな工夫を積み重ね、家事を効率よくこなしている。

「もしかしたら、これって私の“スキル”なのかも……このスキルが誰かの役に立つかもしれない!」こう考えた麻衣さんは、自身の家事スキルを副業にしてみようと思い立った。

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家事を副業に→依頼してくれた友人からの「厳しいひと言」

翌日、早速友人にこのアイデアを話したところ、「じゃあ、私が初めてのお客さんになるよ」と、その場で依頼してくれることに。トントン拍子で家事代行サービスをはじめた。

しかし、初めての業務を終え、友人に感想を聞いてみると、意外な反応が返ってくる。

「まあ、プロに頼むレベルとはいえないかな」

この言葉を聞いて大きなショックを受けた麻衣さんだったが、友人や知り合いづてに家事代行を続けた。しかし、自分が実際に手を動かすとなると、副業に割ける時間と顧客のニーズがかみ合わず、なかなか希望通りの時間が確保できない。さらに、副業と本業・プライベートのバランスも崩れがちで、せっかく来た依頼にうまく応えられないこともあった。

収益も安定せず、実際の業務より準備にかける時間のほうが長くなり、家族からも「副業のために自分を追い詰めてない?」と心配される始末。

麻衣さん自身も「やっぱり、自分の家事スキルに価値なんてなかったのかもしれない」と、副業の継続に限界を感じ始めていた。