自邸のガーデニングやセンスあふれるライフスタイルが人気のバラ愛好家・奥野多佳子さん。今回は総集編。春夏秋冬の庭の様子やDIY、ファブリックアートなど、多才な魅力を紹介します。
20年かけて作ってきたバラの庭
「バラに包まれたい!」
20年前に1本のバラを植えたことがきっかけで私の庭作りが始まりました。土を作り、レンガを積み、アーチを立て、芝を張る……体力勝負で本当に地道な作業の連続でしたが、試行錯誤を繰り返して、今ようやく目指す庭のアウトラインが見えてきたところです。
5月になると、私の思いに応えるようにバラはあふれるほど咲いてくれます。
がんばってよかったと思えるのですが、その庭作りで得たものは、心癒やされる場所だけでなく、庭が繋いでくれた多くの人との出会いがありました。それは私にとってかけがえのない経験でした。
また、庭からもらったエネルギーでタピストリー作品を制作することができて、「ガーデニング」というひと言では言い尽くせない、とても濃密な20年でした。
そんな私の庭を、1年を通してご紹介します。
庭は2つあります。門扉から玄関に続くボーダーガーデンの前庭と、リビングに接する裏庭。どちらもバラで囲まれた庭です。
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春…庭が一番美しく輝く時
4月になるとバラの蕾も膨らんで、日ごと庭に色彩が増してきます。
門扉辺りはアメリカハナズオウ ハートオブゴールドのライムグリーンの新芽が鮮やかで、バラを引き立てます。
バラはジャスミーナ、クレマチスはマダム・ジュリア・コレボン
前庭は3つのアーチがバラであふれます
5月になると長さ25mある前庭は、3つのアーチがバラのトンネルになります。
白いバラはマダム・アルフレッド・キャリエールとつるアイスバーグ、左奥のピンクはアブラハム・ダービー
門を入ると甘い香りがあふれるので、この季節は玄関までゆっくり歩くようになります。
黄色のバラはゴールデン・セレブレーション、ピンクはスパニッシュビューティーとラジオタイムス、アブラハム・ダービー、赤はオデッセイア、白はつるアイスバーグ
右は白いドット模様のキャメロット、赤はオデッサィア
バラには農薬を撒かないので黒点病や虫の被害にも遭うのですが、最近は病気にかかりにくい品種のバラを選ぶようになりました。この2本もそうで、その丈夫さやたくましさには驚きます。
赤いバラはオデッセイア、ピンクはスパニッシュビューティー、薄いピンクはピエール・ド・ロンサール
晩秋に植えたジキタリスやカンパニュラ、種まきして育てたオルラヤやニゲラ、アマなど一年草もバラとよく合って美しい色彩が生まれます。
ピンクのバラは遅咲きのジャスミーナ
3つのアーチは、奥へ行くほど遅咲きのバラを植えているので6月初めまで楽しめます。
ジャスミーナは、見た目の可憐な雰囲気と違って、太いシュートが驚くほど旺盛に伸びてよく咲きます。香りもよく、枝垂れるように咲くのでアーチにはぴったりのバラです。
裏庭は360度バラに囲まれた空間です
はじめ裏庭は、芝生を張り四角くタイルを敷いていて、芝生のメンテナンスが大変でした。そこから大改造。
芝生は、張るのは簡単ですが剥すのは大変!タイルも重い!本当に体力勝負! でもそこから試行錯誤を繰り返せたのは、自分の庭(=自分の世界)を作りたいと夢中になっていたからです。
裏庭の最終形は、タイルを丸く敷いた中に芝を張って、その周りに植えたバラや花や木々に取り囲まれるようにしました。丸くタイルを置くのも芝を張るのも楽しかったです。
この面積だと芝生の管理もストレスなくできて、芝刈りの後に芝生用の除草剤 シバキープを使っています。芝生に立てば庭のすべてが見渡せます。
庭は年を追うごとに変化していきますが、バラに包まれたいという思いは変わらず、いつもバラのご機嫌を伺い、台風が来たときは枝が折れないようロープでくくったり、株元に木くずを見つけると大慌てでカミキリムシ対策をしたり、ずっと見守ってきました。
でも20年も経つバラは病気や虫の被害にも遭いやすく、元気に育てるのは大変です。一本一本大事に剪定しています。私の庭作りに付き合ってくれたバラたちに感謝! 大切な仲間たちです。
ホスタやヒューケラなどを組み合わせるとき、好きな色合いは何年経っても変わらないですね
裏庭もほとんどがつるバラで目線が上に向きますが、この三角形の花壇をフォーカルポイントにして毎年変化をつけるようにしています。
白いバラは群星、黄色はグラハム・トーマス、ピンクはコンスタンス・スプライ
ピンクのバラはラベンダードリーム
白いバラはウエディング・デイ、ピンクはピエール・ド・ロンサール、赤はアルテシモ
ホスタやヒューケラ、グラス類が好きなので、日陰になる場所ではカラーリーフの色合わせを楽しんでいます。
私が庭作りに夢中になれたのは、家族が応援してくれたり、共感できる友人がいてくれたからです。友人たちと「きれいね!」と庭を眺める……ただただ一緒に共感してくれることがうれしいのです。
長くオープンガーデンを続けられたのも、そんな時間がとても大切と思えたからでした。