京丹波といえばの名産品「丹後ちりめん織元 たゆう」で触れる伝統の美

奈良時代から絹織物が織りつがれているという京丹後。その代名詞ともいえる“ちりめん”が生み出されたのは江戸時代・享保5年のことだとか。そんな伝統の流れを受け継ぎ、今も日々織機の音が響く「丹後ちりめん織元 たゆう」では、ファクトリーブランド「tayu」も手掛けています。

ファッション雑貨や絵はがき、メディアによく取り上げられるという肌に優しい絹のタオルなどもすべてたゆうさんで作られた丹後ちりめんが使われています。ソープをはじめとするコスメ類には、絹織物の製造過程で発生する「セリシン」が使われています。肌に近い天然のたんぱく成分で、保湿力のほかさまざまな美容効果が期待されています。

お蚕さんが作る繭から生糸を紡ぐ「製糸」、撚りをかける「撚糸」などを経て織り上げられた生地は、びっくりするほどゴワゴワ。織物をお湯で煮て、セリシンを落とす「精錬」という工程ののちにようやく、私たちがイメージする絹織物のしっとりとやわらかな質感となります。経糸と緯糸に異なる撚り具合の糸を使って織り、精錬して縮んだ結果、「縮緬(ちりめん)」ならではの凹凸のあるシボ感が出流のです。まさに字の通りなのですが、改めて理屈を知って、妙に納得してしまいました。

会話が聞き取れないほど賑やかな織機の響き。それでも、工場にある織機のうち、稼働しているのは一部だそう。丹後ちりめんはもちろんのこと、和装文化を支える絹織物の伝統をどう守っていくのか、産地を訪れるとヒリヒリとした気持ちにもなります。

丹後ちりめん織元 たゆうについて詳しくはこちらから!

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織物を“練る”!? 丹後織物工業組合のオープンファクトリー「TANGO OPEN CENTER」


絹織物精練加工場のオープンファクトリー「TANGO OPEN CENTER」では、丹後ちりめんや絹織物を身近に感じられるワークショップも人気。2024年6月にオープンしたばかりですが、海外から訪れるゲストもいて、日本の絹織物の技術力の高さに驚愕しているそう。

ファクトリーショップでは、丹後織物製品を数多くラインナップ。なかでも注目は、地域に根ざして活動する新進気鋭の作家たちのアイテム。お肌や髪にやさしいシルクを使ったウエアやパジャマ、ナイトキャップなどが豊富に取り揃えられています。この品揃えは産地だからこそです。

シルク100%はもちろん、ウールシルクなどのアイテムも。なかにはポリエステルのちりめんもあり、丹後では絹に限らず、さまざまな素材を使い、ストレッチ性などさまざまな特性を持つ生地が開発されたり、“洗濯機で気軽に洗える絹”といった新たな技術の研究も進められています。

需要が低下とともに全国的に生産量が減るばかりとなっている絹織物。古代から現代に至るまで、織物の名産地であり続けてきた京丹後も例外ではありません。織られた生地から余計なものを落とす「精錬」という工程は本来“練る”と呼ばれていたそうですが、今や全国の織物の“練り”は、ほぼ全てをこちらの工場が一手に引き受けている状態。

織物を煮るための動力は、ボイラー。工場の精錬場にはもうもうと湯気が立ち込めていましたが「このメインのボイラーのバルブが閉じられる時が、日本の絹織物の最後かもしれません」と伺い、まずは知ることの大切さをしみじみと感じました。

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