スキミア5つの魅力
ヨーロッパの庭で地植えされているスキミア。日本より冷涼な環境のため日なたに植えられている。Oleksandr Sokurenko/Shutterstock.com
スキミアは彩りの美しさ以外にも、育てる上で嬉しい点がいくつもあります。5つのポイントに絞ってスキミアの魅力をご紹介します。
① 一年中緑
スキミアはミカン科の常緑低木。一年中美しい緑を庭に提供してくれます。
② 鑑賞期間が長い
11月頃からつぼみが膨らみ始め、桜が咲きはじめる少し前に開花するまで、半年以上もつぼみの状態のままで楽しめます。彩りの変化も魅力です。常に美しく保っておきたい玄関先などの鉢植えにもおすすめ。
③ 管理が楽
特に注意しなければならない病害虫はなく、生育はとてもゆっくりなので、特別な手入れの必要がありません。花がらは自然に風でポロっと落ちるので、花がら摘みの必要もなく、数年放置していても、株姿が極端に暴れないので管理しやすいです。
④ 日陰で活躍
周囲に障害物のない明るい日陰に植えるとよいでしょう。スキミアは日本原産の植物ですが、近年の日本の猛暑と強い日差しは大敵です。西日が長く差し込む場所や直射日光の当たりやすい場所では葉焼けになりやすく、かといって、鬱蒼とした日陰では、つぼみがつきづらくなります。そのため、夏は、明るい日陰を選んで鉢を移動したり、植え場所を選ぶようにしましょう。
スキミアは地表近くにも根を張るので、暑さ対策としてバークチップなどを株元に2〜3cmの厚さで敷き詰めると夏越ししやすくなります。
⑤ ドーム状に仕立てて、単体で楽しむ
最大樹高は1mほどとコンパクトです。周囲に障害物がなく日陰具合が均等であれば、枝が放射状に伸び、株を取り囲むようにつぼみがついて、ドーム状に株姿が整います。そのように自然樹形を楽しみたい場合は、単体で地植えにすることをおすすめします。
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スキミアの育て方のコツ
冬の寄せ植えに活躍するスキミア。
栽培環境
スキミアは苗から育てるのが一般的。スキミアの苗が園芸店に出回る時期は、主に11~12月です。この時期に苗を入手したら、植え付けをします。植え付けの際には、植え場所の確認をすることが大切です。スキミアは元々山の中で育つような植物なので、日陰を好みます。その反面、夏の暑さや直射日光が苦手なので、地植えにする場合は風通しのよい明るい日陰の環境に植えましょう。寒冷地では、極端な寒さに当たらないように鉢植えにして移動できるようにするのもよいでしょう。
11月から園芸店やガーデンセンターに並ぶスキミアの苗。
植え付けの注意
植え付けの際には、根を傷つけないように注意します。スキミアは成長が遅いため、根を傷つけてしまうとダメージが大きくなることがあります。苗をポットから出したら、根をいじらないように、土を落とさずにそのまま植え付けましょう。
用土
スキミアは水はけのよい、やや酸性(pH5.5-6.5)の土壌を好みます。日本の土は基本的に酸性に傾くため、地植えの際は用土は特に気にしないでも大丈夫ですが、コンクリートの近くでは土がアルカリ性に傾きやすいので、中和剤として、酸性土である鹿沼土などで酸度調整をするとよいでしょう。
水やり
地植えの場合は基本的には水やりは必要ありません。夏場の乾燥に注意し、雨が降らない日が続いた時はたっぷりと水を与えましょう。
乾燥に強いイメージがあるスキミアですが、極端な過湿と乾燥の繰り返しはよくありません。スキミアにとって日本の夏は気温が高く、表土が高温かつ乾きやすくなるので、保湿の目的として、株元を完熟たい肥やバークチップなどで覆うようにするとよいでしょう。
肥料
スキミアは、あまり肥料を必要としない植物ですが、足りなすぎたり、施しすぎないように注意が必要です。スキミアの生育期は3~6月です。生育期間中の過度な施肥は、花が咲かなかったり、肥料やけを起こして枯れてしまうこともあります。また、“葉の黄化”は肥料の欠乏が原因なので、肥料が生育期に切れると葉が黄化します。しかし、肥料が多すぎると肥大、徒長などを引き起こすので、与えすぎないように気をつけましょう。
増やし方
スキミアは、挿し木と種まき(実生)で増やすことができます。挿し木で増やす場合は、5~6月に元気そうな枝を切り、下葉を取って吸水させ、鹿沼土に挿して乾かないように管理します。根が出て成長を始めるまで時間がかかるので、根気よく育てましょう。切り口に発根促進剤を塗ると成功率が上がります。
種まきで育てる場合は、雌株につく実からタネを取って播きます。この実は有毒なので、絶対に口にしないように注意してください。発芽率はそれほど悪くなく、こぼれ種から芽が出ることもあります。
スキミアが枯れる原因とは
スキミアは調子が悪くなると、葉が黄色くなったり落ちたりというように、葉に変調が現れます。スキミアが枯れてしまう原因として、よく考えられるのは、肥料が多すぎて肥料やけを起こしている場合や、強い日や暑さに当たって弱ってしまった場合、水のやりすぎで土の中が常に湿っている場合など。いずれの場合も、スキミアの葉の状態をよく観察して早めに不調に気づき、管理する場所を変えたり、土をしっかり乾かしたりなどの対処をすることが大切です。
監修&写真協力:江口政喜(えぐちナーセリー)
2004年からスキミアを輸入販売する「えぐちナーセリー」の江口政喜さん
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。