メンタルヘルスと日頃の食生活は深く関係しているという。心の健康に効く食べ物とは? マリ・クレール インターナショナルのフランス版デジタル記事よりお届け。
数多くの科学的研究により、腸と脳の関係を改善することで、食事がメンタルヘルスと認知能力を向上させることが明らかになっている。このプロセスを助けるスーパーフードの例をいくつか紹介しよう。
腸脳相関は脳の情動・認知中枢と腸の周辺機能をつなぐ、複雑なコミュニケーション・ネットワークだ。
そこでは気分や認知機能、さらにはストレスや不安、うつなどの精神疾患に影響する絶え間ない対話が行われている。
最近、新たな研究により、特に食事療法によって、腸内細菌叢(腸内フローラとも呼ばれる)がこの対話に重要な役割を果たすことが明らかになった。ここにメンタルヘルスを改善する食品の例をいくつか紹介しよう。
オメガ3脂肪酸
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2024年6月21日(現地時間)に米サイト『Psychology Today』に掲載された記事の中で、アメリカの心理学者Mark Travers(マーク・トラバース)氏は、メンタルヘルスに有益な役割を果たす3つのスーパーフードを挙げている。
まず、脂ののった魚(サケ、サバ、イワシ、ニシンなど)のようなオメガ3脂肪酸を豊富に含む食品は、体内で独自に作り出すことのできない必須脂肪酸を供給する栄養素である。
これらのオメガ3系脂肪酸は、脳機能において重要な役割を果たしている。抗炎症作用があり、うつ症状を緩和したり、セロトニンやドーパミンといった気分に不可欠な神経伝達物質を調節したり、アルツハイマー病などの神経変性疾患の発症リスクを低減したりする。
2016年に『Translational Psychiatry』誌に発表されたある研究では、オメガ3系の摂取量が多いと、うつや不安のリスクが低くなることが示された。
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発酵食品
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ヨーグルト、ザワークラウト、ケフィア、テンペなどの発酵食品には、プロバイオティクスが豊富に含まれている。プロバイオティクスは、腸内の健康を維持・改善するために不可欠な善玉菌で、精神面でのウェルビーイングと密接な関係がある。プロバイオティクスは神経伝達物質の生成と機能に影響を与え、不安を軽減するガンマ-アミノ酪酸(GABA)を産生する。また、セロトニンも刺激する。
2019年に『Journal of Affective Disorders』誌に発表された研究によると、発酵食品を28日間毎日摂取した後、プロバイオティクスがパニックや神経生理学的な不安、ネガティブな感情、心配、ネガティブムード制御の感情を減少させたという。