インド、タイなど……輸入されたキノコによる課題も
2023〜2024年度に、ブータンは合計約130トンのキノコを生産したが、その多くは小規模農家によるシンプルな栽培方法で育てられたものだ。「農民たちは収穫したキノコを主に地元市場で販売していますが、依然として地域内の需要を完全には満たせてはいません」とドゥルクパ氏は説明し、国内市場にはさらなる成長の余地があることを指摘した。
シイタケを筆頭にキノコの国内需要は年々、増え続けているが、特に遠隔地の小さなコミュニティでは、販売の面で大きな課題があることも明らかである。
NMCのプロジェクトディレクターは、ある栽培者が収穫量の多さに苦労した例を挙げた。「小さなコミュニティでは、シイタケの培養材(ビレット)が同時期に実をつけてしまい、収穫量が予想を大きく上回り、販売が追いつかない状況が発生しました」と説明した。
この問題を克服するためには、フルーツの数量とタイミングを調整し、市場の需要に合わせて生産を行うことが必要だ。
「生産スケジュールを慎重に管理することによって、農民がこうした課題を避け、利益を最大化できるよう支援しています」(NMCのプロジェクトディレクター)
また、NMCは輸入されたキノコによる課題にも直面している。ブータンで消費されるキノコの約90%はインドやタイから輸入されており、ケロン女性グループのような地元の取り組みが輸入依存を減らすために重要であることを示している。
「特に、インドから輸入されるヒラタケの安価な価格が、国内で生産されるヒラタケの価格に影響を与えています」とドゥルクパ氏は指摘した。このため、NMCは農民に対してキノコの栽培を積極的に奨励しており、長期的な目標として輸入を減らし、地元経済を支援することを目指している。
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従来の「丸太」を使った栽培からの移行へ
現在、NMCはより持続可能で環境に優しい栽培方法を模索している。プロジェクトディレクターは、今、最も一般的な方法である丸太を使った栽培から、チップ(おがくず)を使った栽培への移行を計画していることを明かした。
「私たちは持続可能性と環境への配慮から、丸太を使った栽培からおがくずを使った栽培に移行しようとしています」とNMCのプロジェクトディレクターは話した。この移行は、ブータンの自然資源を保護することを目指すだけでなく、より効率的な栽培方法を提供するものである。
将来的には、NMCはキノコ栽培を地域の農業経済における重要な柱へと成長させ、農民に安定した収益をもたらすことを目指している。また、NMCは農民が生産と収益の両方で持続可能な結果を得るための支援を続けていく予定だ。
ケロン女性グループの成功は、農業の可能性を広げ、地域社会の力を強化する方法として、他の地域にも広がることを期待されている。このプロジェクトの取り組みが他の団体にとってもインスピレーションとなり、ブータン全体での持続可能な農業と経済的自立を促進することにつながるだろう。