年間いくら払うことになる?年収別税金額の早見表

課税の流れ、均等割の仕組みを紹介しましたが、「やっぱり難しい」と感じる人も多いかもしれません。そこで、年収200万円から1000万円までの住民税の目安額を算出しました。以下表を参考にしてください。

<年収別保険料・税金額:会社員、独身、扶養無しの場合>

筆者作成

※上記は概算です。その他の影響で変わることがあります
※賞与は考慮せず、年収の12分の1を月額給与(標準報酬額)として概算しています

まず年収から給与所得控除を差し引き、給与所得を算出します。次に、健康保険料や厚生年金の保険料は全額所得控除となるため、これらを差し引きます。さらに一律基礎控除43万円(所得税は48万円)を控除して出した課税所得に税率10%を乗じたものに均等割の5000円を足したものををこちらの表にしました。

例えば、前年の年収が400万円の場合の計算は以下のようになります。

給与収入400万円
給与所得控除400万円×20%+44万円=124万円
給与所得400万円-124万円=276万円
276万円から健康保険料と厚生年金保険料の合計58万1604円を差し引く
 (健康保険料は加入する組合、協会等で異なります)
基礎控除43万円を控除
276万円-58万1604円-43万円=174万8396円
174万8396円×10%+均等割5000円=約17万9800円

この約17万9800円の住民税の12分の1の金額が、新年度の6月から翌5月にかけて、毎月給与から差し引かれることになります。

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住民税高くない?と思ったら節税対策の控除を使おう


住民税決定通知書
【画像出典元】「stock.adobe.com/umaruchan4678」

新年度になると昨年の所得をベースに住民税をいくら払うのかが記載された「住民税決定通知書」を郵送で、または会社から受け取ります。

この通知書には先に紹介した「所得控除」や税額から直接控除できる「税額控除」などの詳細が記されています。会社員は今後、毎月会社から源泉徴収される額も把握できます。

通知書をしっかり確認することで、所得控除がきちんとされているかどうかも確認できます。年末調整時に会社に必要書類を提出してなかったり、処理上のミスなどで「所得控除に該当するのに金額が記載されていない」という場合が時々あります。以下の項目を参考に、所得控除に漏れがないか?または今後できる対策はないかどうか確認してください。

〇生命保険・地震保険控除

まず代表的な1つが保険料控除です。生命保険や地震保険に加入している場合、年間の保険料に応じて所得控除を受けることができます。生命保険は医療保険や個人年金など、保険の種類によってそれぞれ適用される控除が異なります。以下の表の通り、新制度の住民税の所得控除限度額はそれぞれ2.8万円ですが、合計した場合は7万円が限度額となります。

<住民税控除の限度額>

また火災保険や自動車保険は対象外ですが、火災保険に特約として付加している人が多い地震保険は支払保険料の2分の1、最高で2万5000円まで控除することができます。生命保険、地震保険、どちらも年末調整の際に保険会社から送られてくる保険料控除証明書を添付して手続きをすることで完了します。

〇個人型確定拠出年金「iDeCo」

生命保険料控除や地震保険料控除よりも節税効果が大きいのが個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)です。会社員の場合でも、会社の年金制度によっては加入できます。掛け金の限度額は制度によって異なりますが、月額1万2000~2万3000円で、老後に備えて準備することができます。

iDeCoは60歳まで引き出すことができませんが、小規模企業共済等掛金控除として掛金を全額所得控除の対象にできるのがメリットです。特にiDeCoをはじめたばかりの方の中には、年末調整での手続きをつい忘れてしまった方もいるかもしれません。「小規模企業共済等掛金控除」の欄に年間の掛金額が記載されているかどうか確認してください。

なお、iDeCoや生命保険料の控除について「手続きを忘れていた」という場合は、過去5年間に遡って修正することができます。この場合は住民税と連動して所得税の負担も減額されますので、まずは所得税の修正申告を管轄の税務署で行ってください。税務署で行った手続きがお住まいの役所・役場と共有されることになるため、住民税の修正申告は特段必要ありません。

〇医療費控除

医療費控除は会社の年末調整の対象外であるため、ご自身で確定申告が必要となります。一般的に年間10万円以上の医療費がかかった場合、医療費控除が適用されますが、厳密には以下の計算式で医療費控除の対象額を算出します。

医療費控除額=その年に支払った医療費-保険金などで補填される金額-10万円または総所得の5%

10万円または総所得の5%ですので、総所得が200万円未満、例えば150万円の場合、その5%は7万5000円になります。その場合は年間で7万5000円を超えた医療費が控除の対象となります。定期的に通院している人など病院や薬局に行く機会が多い人は、まずは年間の医療費がどれくらいかかるのかを把握するところから始めてください。

〇ふるさと納税

いまや多くの人に周知されているふるさと納税も寄附金控除という所得控除の1つです。ただし、他の所得控除と違い、ふるさと納税は「納税先を変える」ことになるため、節税にはなりません。それでも特産品などがもらえ、応援したい自治体に納税できるのであれば一定のメリットがあると言えそうです。

ふるさと納税は上限額などかなり複雑な制度であるため、住民税の通知書を見ながら、ふるさと納税のポータルサイトにある限度額シミュレーションを使えば「もう少しふるさと納税をしても良さそうだ」、「これ以上ふるさと納税をしても意味がない」など詳細を把握することができますよ。