転職先の「被保険者種別」が異なる場合の対応
転職前と後の会社のいずれかが厚生年金保険の適用事業所でないこともあります。診療所や歯医者などの個人クリニック、税理士、法律事務所など個人の士業事務所などがそれに該当する場合があります。その時は上記第1~4号の被保険者種別が変わるため、別の手続きが必要となります。
例えば従業員2~3名の法律事務所の場合、厚生年金保険の適用事業所に該当せず国民年金に加入します。その後、大手の弁護士法人に転職した場合は第1号被保険者から第2号被保険者に変わることになります。
iDeCoの掛金上限額も変わるため手続きが必要となります。この場合、加入者被保険者種別変更届(第2号被保険者用)が必要となります。合わせて「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」も必要ですが、これは先の例と同じです。
加入者被保険者種別変更届(第2号被保険者用)
第1号から第2号、第3号から第2号、第4号から第2号に変わった際の届出書。
書式サンプル:iDeCo公式サイト「加入者被保険者種別変更届(第2号被保険者用)」
逆に、大手の弁護士法人から厚生年金保険の適用事業所に該当しない個人法律事務所に転職した場合は第2号から第1号に変更となるため、以下の届出書が必要となります。
加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)
書式サンプル:iDeCo公式サイト「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)」
(広告の後にも続きます)
転職時はiDeCoの早めの手続きが重要
書類を記入する
【画像出典元】「stock.adobe.com/Hiroyuki」
今回は転職後もiDeCoを継続する前提の相談でした。また転職先が企業型DCを導入している場合、iDeCoを継続することもできますが、iDeCoを継続せずにそれまでのiDeCo拠出分を企業型DCに移換することもできます。この場合、「加入者資格喪失届」を運営管理機関に届け出をするといった手続きが生じます。転職先の会社に確認しながら早めに進めていきましょう。
加入者喪失届
書式サンプル:iDeCo公式サイト「加入者喪失届」
種別や勤務先の形態によって掛金の上限が決まっていますが、転職時に手続きを失念し、手続きが遅れると、拠出額が超過してしまうことも考えられます。こういった場合、国民年金基金連合会が定期的にモニターしているため、発覚した時点でそれまでの超過分は還付されます。その際に手数料が生じるなど余計な負担が発生することになりますので、転職の際は早めに手続きすることを意識しておいてください。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。