共同通信社が2024年11月26日、生稲晃子外務政務官が22年8月15日に靖国神社を参拝したという記事について「誤った報道だった」としておわびと訂正をした。
国外にも影響を及ぼした誤報には、政治家や識者らからも厳しい声が上がっている。
「オールドメディアはじっくりウラ取りをする』とはなんだったのか」
共同通信は26日、加盟社に配信した記事で「2022年8月15日の終戦の日の靖国神社参拝に関する記事で、自民党の生稲晃子参院議員(現外務政務官)が参拝したと報じたが、正しくは生稲氏は参拝しておらず、誤った報道だった」と訂正した。
生稲氏が24年11月24日に参院議員就任後の靖国参拝を否定したことを受け、当時の取材過程を調べたところ、「国会議員の出入りを取材する過程で生稲氏が境内に入るのを見たとの報告があったが、本人に直接の確認取材をしないまま記事化したと分かった」とした。
24日には、7月に世界文化遺産に登録された新潟県の「佐渡島の金山」で、労働者を追悼する式典が行われ、生稲氏も出席した。これに韓国政府関係者が参加を見送ったことに関連した複数の記事でも、生稲氏の参拝が言及されていた。
共同通信はこの誤報について「日韓外交に影響した可能性がある」とした上で、「生稲議員をはじめ、新潟県や佐渡市、追悼式実行委員会などの地元関係者、読者の皆さまにご迷惑をおかけし、深くおわびします」と謝罪した。
SNSでは、「『SNSはデマばかり、オールドメディアはじっくりウラ取りをする』とはなんだったのか」「ただでさえ一般メディアよりSNSが信用云々っていうときに、火に油を注いでどうするのよ」などと呆れる声が多く上がった。
韓国の大手紙「朝鮮日報」日本語版サイトでは、「日本側の佐渡鉱山追悼式を欠席した韓国政府が独自の行事開催…共同通信『生稲晃子氏の靖国参拝は誤報』 おわびと訂正」と報じている。
共同通信による経緯の説明とおわびについてまとめた上で、「ただし、共同通信は生稲氏が2022年以前に靖国神社を参拝したかどうかについては言及しなかった」ともした。
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国民・玉木代表「共同通信には猛省を促したい」
外交問題にまで発展した「誤報」に、政界や関係者らからも怒りの声が相次いでいる。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、「結果として外交問題にも発展した大誤報。私も経験したことがあるが、『本人に確認せず』報じることなどあってはならない。共同通信には猛省を促したい」と断じた。
元衆院議員の丸山穂高氏は、「『ネットでデマ』とか言ってるマスコミこそ、デマを平気で流しすぎ」と怒りをあらわにし、「生稲氏の手腕は未知数だが、少なくとも記者が本人確認取材をしないまま書くとか最悪だ。今回だけでなく各社常態化してる中で、取材先の本人等からきちんと取材しろとSNSで指摘される時代」とした。
国際政治学者の三浦瑠麗氏は、「『SNS規制』ねえ…。共同通信のフェイクニュースで外交問題になってしまったじゃないか。共同通信は加盟社の報道に影響するんだから最もいい加減なことを書いてはいけないメディアですよ?」と苦言を呈している。