和田秀樹が「老後は好き勝手に生きるべき」と断言するワケ。我慢して慎ましく生きた先に“いいこと”など待っていない

移住、開業、趣味……各分野で老後を狂ったように充実して楽しむクレイジー老人たち。彼らの清々しいほどに振り切った生きざまには、人生100年時代を後悔なく生きるための秘訣が隠されている?

◆「老後は好き勝手に生きるべき!」

『60歳からはやりたい放題』(扶桑社刊)の著書を持つ高齢者専門の精神科医、和田秀樹氏は、日頃から「老後は好き勝手に生きるべき!」と推奨。「我慢しない“クレイジー老人”は長生きしますよ!」と断言する。

「現役世代は家族を養ったり、子供の教育費や住宅ローンのために、イヤな上司がいても我慢して働くわけじゃないですか。でも、引退した高齢者には本来その必要がない。なのに、日本にはどうしても我慢すること、耐えることが美徳とされる文化があるため、老人は慎ましく生きがち。

でも、先々は加齢で体力も落ちるし、感覚も衰えて食事も楽しくなくなる……つまり我慢した先の『後でいいこと』なんてないんですよ! それに我慢ってストレスのもとです。気がめいるのはもちろん、免疫力も低下するからがんや感染症になりやすくなるなど、健康リスクを抱えることになりますからね」

◆好き勝手に生きることが健康長寿の秘訣

だからこそ、好き勝手に生きることが健康長寿の秘訣。しかし、クレイジー老人たちのように、己の欲の赴くままに本性を曝け出すことはなかなか難しいのが本音であろう。

「“他人の目”を日本人は意識しすぎている。特に高齢者は老いてるから静かに、謙虚に……と思いがち。でも、自宅に閉じこもって騒がず・動かずは健康的といえますか? 心理学者のアルフレッド・アドラーは『人目の奴隷になるな』と説いています」

◆思い切った行動が幸福を呼ぶ

日本人の元来の気質も、老人たちが思うように殻を破れない要因である。だからこそ、思い切った行動が幸福を呼ぶ。

「今回出てきたいくつものケースのように老後がクレイジーだとバカにされるかもしれないけど、楽しそうなのは見てわかるし、実際楽しいでしょう。老人だってやりたいと思ったら酒、女、たばこをやりまくったっていい。当たり前にそっちのほうがホルモン活性化に繫がるし、結果として長生き=素晴らしい老後にもなります」

趣味も仕事もSEXも、やりたいことは冥途の土産に全部やって、後悔なき人生を!

【高齢者専門精神科医 和田秀樹氏】

和田秀樹こころと体のクリニック院長。6000人以上の臨床経験を持つ。ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎文庫)ほか、著書多数

取材・文/週刊SPA!編集部

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