未経験からパティスリー、そして独立へ

その後久野さんは、未経験からパティスリーでアルバイトとして働きつつ、製菓学校への通学もスタート。一体、そこにはどんな思いが?

「“自分も何かを生み出せる人になりたい”という漠然とした思いを深掘りして、自分が得意でかつ勝負できることは何かを考えました。仕事をこなしながら、勤務後の時間や休みの日を使い突き詰めた結果、純粋に焼き菓子をつくることが好きだという気持ちと、児童福祉で感じた“食は心を満たす”という思いが頭をよぎったんです。

そこから少しずつ勉強を始め、未経験でも雇ってもらえるパティスリーを必死に探して。その結果、運良く『焼き場(※3)を担当したい』というお願いを承諾してもらえるパティスリーが見つかり、2年間の予定だったロッキング・オンの契約社員を1年半で退職してその店に入りました。

※3)焼き場:クッキーやサブレ、スポンジ生地などを焼き上げる部門

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学生とパティシエを両立した1年間


製菓学校時代

その後、日中はパティスリーで働きながら夜は工房の資金のためのアルバイト、週末は社会人向けの製菓学校に通う睡眠時間3時間の1年間が始まりました。

パティスリーでは1日8時間、少なくとも週4日は働いていたので、なかなか試作する時間が取れませんでしたが…。『今日は生地の状態が不安定だったな』や『なんでこの焼き色になるんだろう?』など仕事中に疑問点がたくさん生まれ、その都度学校で解消しました。

周りの人たちは皆先輩でしたが優しく、楽しく仕事をさせてもらいましたね。入ってすぐに焼く作業を見せてもらって補助作業をするのも、ほかのパティスリーでは経験できなかったと思います。引っ越しの都合で1年間しかいられませんでしたが、とても良い環境で感謝しかありません」