牛乳配達、携帯電話代理店、買い物代行…さまざまな副業
――新聞販売店の倒産では、具体的にはどんなケースがあるのでしょうか。
調査担当者 埼玉県のA新聞販売店。負債総額約1億4000万円。読売新聞をはじめとする新聞販売店経営を主体に、近隣地区をエリアとして日刊新聞の販売、配達業務を行っていました。購読者数減少傾向が続くなかで、人件費などの経費負担も増し、業績が悪化。事業回復の見通しも立たず、資金繰りも限界に達して破産。
岩手県のB新聞販売店。負債総額約6000万円。岩手日報の販売店として30年以上事業を続けてきました。販売部数の落ち込みに加え、コロナ禍以降は折り込みチラシが大きく減少。業績回復の見通しが立たないまま破産に追い込まれました。
――新聞販売店の生き残り戦略として、地域密着の強みを生かす動きを指摘しています。私が取っている新聞販売店でも、「おせち料理の注文受け付け」を始めたので驚いています。たとえば、どんな動きがあるのでしょうか。
調査担当者 各地で工夫と努力を続けている新聞販売店が多いです。牛乳配達販売、携帯電話や新電力の営業代理店、ミニコミ紙の発行、物販販売など多数の副業が見受けられます。
新聞配達以外の時間を使って他のモノをデリバリーする取り組みは珍しくなくなっています。たとえば、地元スーパーと連携して食料品や日用品を届ける買い物代行サービスを行うのも一例です。
地域に貢献するコミュニティーサービスとして、高齢者の見回りは代表的ケースです。新聞配達の際に、ひとり暮らしのお年寄りの体調を気遣ったり、郵便受けに溜まった新聞紙などで異変に気付いたり。独居老人が多い地方では特に効果的で、警備会社とタイアップする事例もあると聞きます。
「地域密着」の営業網を生かし、シニアをターゲットにした販売・サービスを手がける傾向が強いように思われます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)