【医師監修】繰り返す腹痛・下痢・便秘……これって病気なの?意外と知らない「過敏性腸症候群」とは

つらいお腹の症状、ストレスが原因かもしれません。ストレスが、腹痛・下痢・便秘・腹部不快感・腹部膨満感などを引き起こす仕組みとは? 何度も繰り返す場合は、過敏性腸症候群(IBS)の可能性も。症状や治療法などについて医師が詳しく解説します。

監修者プロフィール:藤澤孝志郎さん(総合内科専門医)

Dr.孝志郎のクリニック院長。日本内科学会認定総合内科専門医。宮崎大学医学部卒業。医学教育の第一人者としても知られ「サマライズシリーズ」、「病態生理講座」、「ラストメッセージ」はその代表作。また、医学英語を取り入れたオリジナルの講座を国内でいち早く誕生させ多数の大学医学部で外部講師として活躍。今日までに海外出身者を含め約10万人の医学生と医師達がその講義を受けた。

著書に「内科系専門医試験 解法へのアプローチ第1集・第2集・第3集」(医学書院)、「糖尿病 自分で治す最強事典」(マキノ出版)、「世界一効率よく若返る!骨トレ!」(ビジネス社)など。監修は「肋骨締め」(KADOKAWA)など他多数。VOGUE JAPAN、an・an(アンアン)、Tarzan、ゆうゆう、ハルメクなど取材記事多数。

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腹痛・下痢・便秘の大きな原因になる「ストレス」

消化管の働きは、自律神経によって自分自身の意思とは無関係にコントロールされています。

この自律神経に影響を及ぼすのが、ストレスです。自律神経がストレスの影響を受けてコントロール機能に乱れが生じると、消化管の働きにも異常が起こり、腹痛・下痢・便秘などが引き起こされます。

どの臓器でも多かれ少なかれストレスの影響を受けているものの、中でもストレスを感じやすい、敏感な臓器といわれているのが「腸」です。お腹がキリキリ痛む場合は、ストレスが原因かもしれません。

ストレスで腹痛・下痢・便秘が起こる仕組み

人はストレスを受けると、脳の視床下部にある室傍核(しつぼうかく)から分泌される「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)」の量が増加します。このホルモンは交感神経を活発にして血圧や心拍数を上昇させ、同時に腸の運動を促す作用があります。

強いストレスを感じて腸が活発に動くことで、腹痛が起こるのです。

本来であれば、消化された食べ物は約20時間以上かけてゆっくりと腸内を通り、その間に食べ物に含まれた水分が腸に吸収されます。これによって便が適度な硬さとなって排出される仕組みです。

ストレスによって腸が過剰に動くと、消化された食べ物が通常よりも早く腸を通過してしまうため、十分に水分を吸収できないまま排出されることになり、下痢や水下痢などが引き起こされます。

便秘の場合はこれとは反対で、ストレスの影響などによって腸の運動が鈍くなることが原因です。消化された食べ物が排出されないまま腸内に長時間留まることで水分が吸収され過ぎて硬くなり、排出されにくくなって便秘になります。