本記事は、くにうみAI証券『厳選コラム・ニュース』より抜粋・再編集したものです。

訴訟ファンド、正義の味方か金儲けかー日本初の組成報道もー

米国の法律TVドラマ『グッド・ファイト』――。主人公の新人女性弁護士が法律事務所を舞台にさまざまな訴訟案件を巡って奮闘する番組で、日本でも放映されて人気を博した。

ドラマのなかで、成功報酬型の訴訟の際に資金が問題となり、訴訟投資家が登場するストーリーがある。訴訟投資家は、人工知能(AI)を駆使して勝率を分析し、訴訟に資金提供するかを判断する。訴訟大国の米国ならではの資金調達方法であり、訴訟が投資家の新たな投資先となっていることがドラマからも垣間見える。

訴訟ファンドは、訴訟当事者の片方(主に原告側)と契約を結んで訴訟費用に充てる資金を提供し、勝訴した場合に勝ち取った額からリターン(投資収益)を受け取る。敗訴の場合でも通常、投資元本は保険で保全される。

日本経済新聞は2024年2月11日、日本初の訴訟ファンドの資金調達を報じた。訴訟当事者に資金支援して勝訴後に収益の一部を得るファンド運営を目指すスタートアップ企業、トレイルブレイズアセットマネジメントが、グリー傘下のグリーベンチャーズなどから約9,000万円を調達したと伝えた。

(広告の後にも続きます)

訴訟の資金調達に訴訟ファンド活用

オルタナティブ投資に特化した海外資産運用会社は、訴訟ファンドに関して、費用のかかる訴訟・仲裁のための資金を第三者が提供し、当事者が訴訟費用を支払うことなく法的請求を追求できる新しい資金調達手段と説明し、比較的、安定した高いリターンを享受できる投資戦略に挙げた。

訴訟ファンドは、米国では昔からあり、訴訟で有望な流れを展開している法律事務所に、判決が出るまでの運転資金として提供するという仕組みだ。ただ、銀行が業績や財務諸表に基づいて訴訟の勝ち負けも見込んで資金を提供していたため、実際には銀行が企業に融資を行っているのとほぼ同じ構図だった。

しかし近年、民事訴訟の賠償額が非常に高額になり、現在の訴訟ファンドのスキームに至ったようだ。



[図表1] 出所:くにうみAI証券