作り手と読者が出合う4日間。
2024年11月28日(木)〜12月1日(日)、今年も東京都現代美術館にて第14回TOKYO ART BOOK FAIR(以下、TABF)が開催される。
TOKYO ART BOOK FAIR 2023 Photo: Hajime Kato
TOKYO ART BOOK FAIR 2023 Photo: Hajime Kato
TOKYO ART BOOK FAIR 2023 Photo: Hajime Kato
TOKYO ART BOOK FAIR 2023 Photo: Hajime Kato
TOKYO ART BOOK FAIR 2023 Photo: Hajime Kato
TOKYO ART BOOK FAIR 2023 Photo: Hajime Kato
TOKYO ART BOOK FAIR 2023 Photo: Hajime Kato
2009年にスタートし、アートに特化したブックフェアとして、アジア最大級の規模へと成長した本イベント。今年は『POST』『UTRECHT』『twelvebooks』『torch press』、横浪修、小金沢健人など、約300組の出版社、ギャラリー、アーティストが出展者として参加。広大な空間に独創的なブースを並べ、本の魅力を直に伝える。
そのほかにも、ひとつの国や地域に焦点を当てる「ゲストカントリー」をはじめとする展示企画やトークショー、ワークショップ、サイン会、ライブパフォーマンスなど、多彩なプログラムが目白押しだ。
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今年のゲストカントリーはドイツ。「坂本図書分室」の開催も。
ステファン・マルクス
Stefan Marx, Die Hefte:ステファン・マルクスは、ドイツ・ベルリンを拠点に活躍するアーティスト。ドイツ語で冊子を意味する「Die Hefte」と名付けた本展では、マルクスがこれまでに手がけた約90冊のアーティストブックを一堂に集めて展示し、それらをまとめたZINEもTABFより刊行。また、マルクスとアーティストのリバティ・アドリアンによる共同プロジェクト「Liberty Flower Shop」も展開される。Photo: Taku Matsuda
MISS READ, posters & from 2009-2024:ベルリンで開催される「MISS READ: The Berlin Art Book Fair & Festival」は、2024年には50カ国以上から340を超える出展者を迎え、他に類を見ないほど国際色豊かで多様性に富む、世界最大規模のアートブックフェアとしての地位を確立。今回は「MISS READ」が制作したポスターのほか、インタビュー映像や書籍を展示する。
Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König Archive:老舗出版社「Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König」はアート、建築、映画、ファッション、写真関連の本を扱う書店を営んでいたヴァルター・ケーニッヒと、兄弟のカスパー・ケーニッヒの二人が1968年に設立。マルティン・キッペンバーガー、ギルバート&ジョージ、ゲルハルト・リヒター、河原温、ローレンス・ウィナー、ウォルフガング・ティルマンスを始めとする多くのアーティストから厚い信頼を寄せられてる。TABFでは、過去の貴重なアーカイブから100冊以上の書籍を時系列で展示し、出版社の軌跡とアーティストとの関係性を辿る。
Doitsu Art Buchmarkt:ドイツにおける現代のアートブックシーンを紐解く展示「Doitsu Art Buchmarkt」には、アーティストのステファン・マルクス、ベルリンのアートブックフェア「MISS READ」を主宰し、自らもアーティストであるミハリス・ピヒラー、キュレーターの中島点子、クリエイティブエージェンシーの「Studio Yukiko」、書店「do you read me?!」がセレクトしたアートブックやZINEが並ぶ。Illustration: Yoko Nakayama
TABFの見どころといえば、国内外の出展者が集う出展ブースだが、展示も充実している。毎年恒例の企画「ゲストカントリー」では、ドイツをフィーチャー。アーティストのステファン・マルクスや世界一美しい本を作ると謳われる「Steidl」、ベルリンのアートブックフェア「MISS READ」、老舗出版社「Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König」など、ドイツのアート出版を牽引するブックメイカーたちの展示が行われ、その魅力を紐解いていく。
Steidl Book Culture
ドイツのゲッティンゲンを拠点とする「Steidl」は、1969年の創業以来、ヴィジュアルブックの企画から編集、デザイン、印刷、出版までの工程を自社で行う世界屈指の出版社/印刷会社。TABFでは「Steidl Book Culture, 2006-2023」と題して、同出版社が手がけたビジュアルブック約1,100タイトルを全て展示。ロバート・アダムス、ルイス・ボルツ、ナン・ゴールディン、ロバート・フランク、カール・ラガーフェルド、ダヤニータ・シン、ジョエル・スターンフェルド、ユルゲン・テラー、ジム・ダイン、ロニ・ホーン、エド・ルシェなどの著名なアーティストの書籍を含む本展は、ブックメイキングの歴史に触れられる貴重な機会となりそうだ。細部にまでこだわり抜き、アーティストのビジョンを忠実に具現化した「Steidl」のアート作品ともいうべき「マルチプル」をぜひ手に取ってみてほしい。
「いつか古書店の店主になるのが夢だった」と語るほど、無類の本好きとして知られる坂本龍一が2017年から準備を進めていた、自身の本を多くの人と共有するための図書構想「坂本図書」。昨年9月には、坂本龍一の所蔵していた本を読むことができる図書空間「坂本図書」が都内某所に開館した。TABFでは、12月21日(土)より東京都現代美術館にて開催される展覧会「坂本龍一 音を視る 時を聴く」に先駆け、図書にまつわる展示「坂本図書分室」を開催。坂本龍一が晩年に愛した私物書籍の一部、実際に使用していた家具などの読書空間が再現されるほか、「坂本図書」に所蔵している書籍と同タイトルの古書やオリジナルグッズが販売される。