中古アパート経営において成功のカギを握る「物件選び」。物件を選ぶ際、どのようなところに着目すれば、「良い物件」「悪い物件」を見極められるのでしょうか?今回は、現役不動産投資家である不動産鑑定士兼税理士の沖田豊明氏が自身の経験から、不動産投資を成功に導くポイントについて解説します。
長い不動産投資の経験から、「木造の中古アパート」を選ぶ理由
これまで中古、新築、アパート、マンション……さまざまな賃貸物件に投資をしてきました。それぞれにメリット・デメリットの両方があります。
まず、新築であれば、貸し出すときの家賃を中古よりも高く設定できます。しかしながら、新築はいつまでも新築というわけではないので、当然、時が経過すると家賃が下落します。そうしたときに、「修繕・リノベーション」によるキャッシュフローの改善を考えなければなりません。
中古の場合は、そもそも修繕を前提として賃貸経営のキャッシュフローを考える必要があります。本来の賃貸収入重視でランニングコストを考えるのであれば、木造アパートがお勧めです。投資効率も非常にいいです。
特に「お買い得」な物件
特に築15年~20年ほどの木造アパートは、ちょうど耐用年数が下がってくるタイミング。利回りも高く、土地と建物が同じくらいの価格になるものもあります。しかし、木造アパートはきちんと管理さえ行えば、50年~60年であっても住むことができるため、まだまだ建物として十分使えるのです。
しかし木造アパートは、財務省令で定められている法定耐用年数の22年で、減価償却が切れてしまいます。耐用年数が過ぎると物件価格は下がることも多く、なかには、そのタイミングで物件を売却しようと考える人もいます。つまり、買い手にとっては、非常にお買い得なタイミングで購入することが可能なのです。中古の木造アパートは修繕やリノベーションさえすれば、非常に効率よく投資することができると筆者は考えています。
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木造アパートの修繕・リノベーションのしやすさ
木造アパートであれば、3階建てでもいいですが、筆者は2階建ての物件を特にお勧めします。
まず、一般的なRC造のマンションの場合、木造アパートよりも高層のものが多いでしょう。そういった物件は外壁の塗り直しなどの大規模修繕工事に大きなコストがかかります。これは足場を高く設置しなければならないからであり、実際、筆者が経験した物件の大規模修繕では、外壁修繕にかかる費用の7割~8割ほどが足場代でした。
一方、木造アパートの場合、筆者が以前所有していた物件では、外壁修繕と屋根の防水加工を合わせても200万円ほど。さらに、配管工事のときに、RC造の場合、コンクリートの壁を壊す必要があり、当然これには大きなコストがかかります。しかし、木造であれば木を剥がして配管を取り替えるだけで済みます。このコストの差は、リノベーションをする際にも同様にコストを抑えて行うことができるでしょう。