うつ病のまわりの人も覚えておくべき【心療内科医が解説】調子が悪いとき・つらいときの休み方

うつ状態でつらいとき、調子が悪い日の過ごし方

うつ状態になると、以下のような3つの傾向がみられます。

感じ方の変化……やる気が起きない、抑うつ的になる
考え方の変化……「自分はだめだ」など、否定的な考えや嫌な考えばかりが思い浮かぶ
行動の変化……家に引きこもりがちになり、外に出たくない、外出できない

うつ状態やうつ病の多くは、ストレスがかかり続けたことが原因になっています。そのため、うつ状態のときは「十分な休養を取ること」が大切です。

ここからはうつ状態でつらいとき、調子が悪い日の過ごし方をご紹介します。

なお、ここで紹介するのはあくまで補助的な方法となります。食欲不振によって体重が減っている、いなくなりたいと考えるほどのひどいうつ状態のときなどは、補助的な対処法のみに頼るのは危険です。

そのような場合は、まずは医師や専門家のアドバイスを受けることが大切です。

医師や専門家のアドバイスを受ける

気分の落ち込みが激しいときや、うつ病・躁うつ病(双極性障害)が疑われるときは、心療内科や精神科に行き、医師や専門家のアドバイスを受けましょう。

信頼できる医師と出会えれば、自分が抱えている悩みや不安を相談しやすくなるでしょう。

環境を変えずに負担を減らす

家事をしている人や、仕事をしている人は、1日の作業量を減らしてみましょう。無理に環境をがらりと変えるのではなく、量を少なくすることで、負担を減らすことができます。

症状が強い場合は、仕事を休む、家事を他の人に任せるなど、できるかぎり休める時間を作れるようにしましょう。

できることから始める

うつ状態になると、これまで決断できていたことに対して、決断が難しくなることがあります。うつ状態のときは考え方が否定的になることがあり、冷静な判断が行えず、誤った判断をしてしまう可能性があるため、注意が必要です。

他人と比較せず、自分ができることから始めて、自信をつけていくといいでしょう。

うつ状態のときは時間帯によって気分に波があり、朝や午前中は気分が悪く、夕方や夜になると元気になる、楽になる人が多い傾向にあります。このようなリズムに合わせた生活を送るのも一つの方法です。

休みを取る

仕事が忙しくてストレスがたまる、家庭のことでイライラや不安が募るなど、日常生活で受けることのあるさまざまなストレスは、うつ状態を引き起こすきっかけになります。

無理を続けるとうつ状態が悪化してしまう可能性があるため、思い切って休みを取ってみてもいいかもしれません。

太陽の光を浴びる

うつ状態になると、午前中は眠い・だるい、昼間もすっきりした感じがしない、夜はなかなか寝付けないなど、1日のリズムが崩れてしまいがちになります。

また、外出が億劫になることもあり、すると、ますますリズムが狂ってしまいます。毎日、朝になったらカーテンを開けて、なるべく太陽の光を浴びるようにすると、体内時計が整い、気分の改善につながるでしょう。

音楽を聴く、気分が楽になることを取り入れる

うつ状態のときは、自分の好きな音楽を聴くことで、心をリラックスさせることも大切です。元気を出そうとして無理に明るい曲を聴く必要はなく、そのときの自分の気分に合った曲を聞いた方が心が安まります。

音楽だけではなく、散歩など自分の気持ちが楽になることを負担のない範囲で取り入れるといいでしょう。

生活リズムを整える

起床時間、就寝時間がバラバラで不規則になると、躁うつを繰り返す原因になります。

家のことや仕事のことで忙しいと、つい寝る時間が遅くなってしまい、生活の乱れが起こってしまうかもしれませんが、無理をしてうつ状態を繰り返したり、体を壊したりすれば、元も子もありません。

いきなり大きく生活を変えるのは無理でも、できることから変えてみましょう。

食生活を整える

うつ状態になると、食欲の低下や、食欲にムラが出ることも多いです。

しかし、特定の食品ばかり食べて栄養が偏ったり、食事を取らない生活が続くと、健康にも精神面にも悪い影響があるなど、悪循環に陥ってしまいかねません。バランスのいい食事を心掛け、食生活を整えましょう。

落ち込みや不安感、不眠には「セロトニン」や、セロトニンから作られる「メラトニン」が関係しており、セロトニンの材料となるのが「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。

トリプトファンが不足するとセロトニンとメラトニンが不足してうつ状態や不眠の原因になるため、不足しないよう注意しましょう。

トリプトファンは豆腐や納豆、醤油、味噌などの大豆食品、米などの穀類、ヨーグルト、チーズ、牛乳などの乳製品に多く含まれています。

アロマなど、香りを利用する

薬を使うほどでない軽いうつ状態や不眠などには、アロマなど香りの利用も役立つかもしれません。

うつ状態にはレモンなど柑橘系、寝付けないなど不眠に関してはラベンダー、ペパーミント、ローズ、パインなどの香りがいいとされています。

アロマの他にもハーブティーなど、自分の好みに合わせたものを利用するとリラックスにつながるでしょう。

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うつ状態で外に出たくないときの対処法

うつ状態になると「外に出たくない」「外出が億劫で家でゴロゴロ過ごしてしまった」ということがあります。しかし、1日中ずっと家で過ごした結果、余計に落ち込んでしまうことも。

このようなときは、まずは無理をしないことが大切です。そして、外に出られない自分を責めるのではなく「外に出なければならないと思っている=外に出ようとしている」と見方を変え、自分を褒めましょう。

また、行動活性化療法(行動活性化技法、行動活性化法)と呼ばれる認知行動療法を試すという方法もあります。

行動活性化療法とは「自分が前向きになれる行動」を少しずつ増やしていき、気分を改善していく方法のこと。前向きになれる行動を取り入れることで、行動から気分をコントロールしていくというものです。

専門家に相談して、このような療法を取り入れるのも対処法の一つです。