Q.気付くとぼーっとしてしまいます
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A.ぼーっとするのは次の行動への準備
毎日忙しさに追われていると、何もしないでぼーっとしたくなる人も多いはずです。
あれもこれもと仕事上の負担が増えると、ストレスがたまってピリピリし、自律神経にも悪影響を及ぼしてしまいます。
そんなときに、例えば漠然と空を見つめたり、風景をぼんやり眺めたりすると、交感神経と副交感神経の働きがレベルアップします。
実は人間の脳は、ぼーっとすることによって無意識の状態をつくると、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳内システムに変わるようにできています。すると、次の意識的な行動の準備ができるのです。
何も考えていないときに突然アイデアがパッとひらめくのは、DMNがオンの状態で、思考のパフォーマンスが上がっているからです。
物理学の有名理論であるアルキメデスの原理も、アルキメデスがお風呂に入ってぼーっとしているときに浴槽からお湯が流れ出すのを見て、水中の物体は、その物体が押しのけた水の重力に等しい浮力を受けることを思いつきました。
ぼーっとするひとときは、脳を覚醒させ、クリアにする効果をもたらすのです。
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Q.ネガティブな感情を引きずってしまいます……
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A.気持ちが落ち込むと老化が進みやすくなります
イライラや怒り、嫉妬、不安、心配……など、ついつい引きずってしまうネガティブな感情。こうした感情を長く抱えていると交感神経の働きが強くなり、白血球の中に存在する免疫細胞の一つ、顆粒球が増加します。その結果、大量の活性酸素が体内にばらまかれるため、正常な細胞が傷ついてしまうのです。
そうなると、自律神経を介して老化が進み、病気の発症リスクも急上昇します。
また、メンタルの不安定さによる自律神経の乱れは、腸の働きを低下させます。大腸の悪玉菌が増えると、腸内の毒素も増え、疲労感や肌荒れ、便秘などの原因にもなります。
腸は人体を病気から守る免疫器官として“第2の脳”のような役割を果たしているため、腸内環境の悪化は、脳にもストレスを与え、精神的にも不安定になってしまうのです。
そんな“負のスパイラル”を解消するには、ネガティブな感情を引きずることなく、早く忘れるに限ります。
些細なことで怒ったり、イライラしたりせず、常に気持ちに余裕を持って、頭の中で好きな曲のメロディを思い出すなどして、心を平静に保つよう努力しましょう。
※本記事は『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する!自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken 刊)を一部引用して作成しています。