国家公務員の扶養手当はどのように変わる?


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【画像出典元】「Gannvector/Shutterstock.com」

国家公務員の配偶者への扶養手当は、2025年度から2026年度にかけて段階的に廃止予定です。

行政職俸給表(一)の7級以下の職員

2024年度:月額6500円
2025年度:月額3000円
2026年度:廃止(0円)

行政職俸給表(一)8級以上の職員

2024年度:月額3500円
2025年度:廃止(0円)
2026年度:廃止(0円)

いわゆる管理職にあたる人は現在でも減額か支給されていない状態ですが、来年度以降は職員全体で減額と廃止が進められる予定です。

扶養手当を支給する企業は減る傾向にある

配偶者に対する扶養手当は公務員だけではなく、民間でも廃止する企業が増えています。有名なところではトヨタ自動車が2021年までに月額1万9500円の配偶者手当を廃止し、代わりに子ども手当を月額2万円としています。

この背景は次のようなことが要因として考えられています。

1.共働き世帯の増加
2.未婚化や晩婚化などの影響による配偶者を有する人の減少
3.配偶者手当を受給するために就業制限をしている人がいる
4.従業員同士の不公平感解消のため

様々な要因がありますが、「結婚しているから手当をもらえる」ということに対して不公平感を持っている人も多いようです。また税金や社会保険における103万円や130万円などの壁が扶養手当の基準になっている企業も多く、この壁を意識して就業制限をしている人は公務員の配偶者に限らず目立ちます。

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社会保険料の支払いで、手取りはどれだけ減る?

所得税や住民税は事業所の人数や課税所得の大きさによって、税金の額や社会保険の加入対象かどうかが決まります。下記の表は40歳で介護保険の保険料を払っている人の手取り額の違いを概算で試算したものです。

表:筆者作成

社会保険の保険料を納めている人が51人以上の職場で勤務する場合、2024年10月から額面所得が106万円を超えると社会保険料の支払いが必要になりました。単純計算ですが、同じ106万円の額面給与でも社会保険の有無で手取りが年間15万円程度違ってきます。

2025年3月までは国の年収の壁対策パッケージで社会保険料の負担は緩和されていますが、社会保険の対象か否かで同じ給与でも手取り金額に大きな違いがあり、就労調整が発生するのもやむを得ないでしょう。

この点を見ないふりをして、「働ける人が就業調整している」と大きな声で主張されるのも少し違うように思います。