食楽web

●フランス生まれ、新潟育ちの幻の洋なし「ル レクチエ」の11月22日より解禁。魅力をPRする「よんでるないと」でその魅力を探った。

 米どころとして有名な新潟県。実は全国第3位の西洋なし生産量を誇る“西洋なし県”です。その中でも栽培が非常に難しく、希少性の高さから幻といわれている「ル レクチエ」は、新潟県で8割強が出荷されています。


ル レクチェ解禁イベント「よんでるないと」が『TRUNK(HOTEL) CAT STREET』で開催

 日本初の「ル レクチエ」栽培は120年前の明治時代にさかのぼります。現在の新潟市南区の農家、小池左右吉氏がフランスから数十種類の苗木を取り寄せ、栽培を開始したのがきっかけ。


食べごろまで熟れると、簡単なナイフでするりとカットすることができます

 甘さとなめらかな食感、気品ある香りに魅了されましたが、栽培には病害への対策が最も重要で、安定した生産の確立も難しく、多くの課題が伴いました。非常に手間のかかる果物ゆえに、フランス生まれと言えど、現在では世界的に見ても生産する国が少なく、新潟は栽培に成功した屈指の県なのです。

 とはいえ、お隣の山形県にはラ・フランスがあり、知名度では一歩及ばずというのが現状のよう。ただ、一度味わえば「ル レクチエ」に必ず魅了されるはず。なぜなら、甘みが段違いで、なし特有のざらざら感が一切なく、桃のようにとろけるような果肉なのです。


新潟県の花角知事

 特徴的なのが、その香り。新潟県知事は、「甘く、まるで香水のよう」と表現するほど、気品高い香りなのです。この絶妙な味わいは約1か月間の「追熟」の工程で作り上げられます。


果実は緑色からバナナのようにはっきりとしたブライトイエローに変化

 解禁日は11月22日とお伝えしましたが、収穫そのものは10月中に行われ、20℃以下の冷蔵環境で予冷されることでデンプン質が糖に変わります。色も緑色から輝くようなイエローへと変化します。

 熟してくると、カットする前から香りが溢れ、期待感を増幅させてくれますよ。百貨店や果物専門店などで(著者は共同購入などで買うことも)購入することもでき、「ル レクチエ」を使った加工品や、レストラン、カフェ、バーなどでも味わうこともできます。


「ポワロー葱とジャガイモのヴィシソワーズ ル レクチエのグラッセ」

「国産牛フィレ肉のポワレ ル レクチェの赤ワインコンポート」 [食楽web]

 今回、「よんでるないと」では、『TRUNK(HOTEL) CAT STREET』(東京・渋谷)のシェフにより、「ル レクチエ」を使ったコースが振舞われました。香りの良い果肉は、シンプルな食材と合わせ、引き立てても良いですし、白トリュフなど印象的な香りの食材と合わせるのもおすすめだとか。


ジャムやジュースなど、ル レクチェを使った商品も

 果実は約1か月間しかお目にかかれませんが、ル レクチエを加工した商品なら新潟県内や、銀座にあるアンテナショップなどでも手に入ります。冬のごちそうとして、ぜひ覚えておきたい一品です。

 さらに、都内にあるパティスリーやレストラン、バーともコラボメニューを販売中。12月1日からは、『FARO』(銀座)や、『BAR堀川』(銀座)、『レストラン リューズ』(六本木)をはじめ、

パティスリー リョウラ』(用賀)や、『アンフィニ』』(奥沢)、『メゾンジブレー』(神奈川県)、『カフェコムサ』などで、「ル レクチエ」のフレッシュなおいしさを楽しめる珠玉のスイーツが楽しめそうです。

(撮影・文◎亀井亜衣子)