相続が発生すると、もめやすいのが、きょうだい間の遺産分割です。今回は、遺産分割でよく用いられる4つの方法を見ていきます。相続専門税理士の岸田康雄税理士がやさしく解説いたします。

そもそも「遺産分割」とはどのようなもの?

相続発生後の手続きを行うにあたり、最初にやるべきは、遺産となる相続財産をすべて見つけ出して確認することです。

しかし、相続の対象となるのは「いまある財産だけではない」という点には注意が必要です。相続発生前に贈与された財産や引き出された預貯金についても、しっかりと把握する必要があるのです。

よくあるのが、亡くなる前にお世話をしていた家族が、医療費を払うために、親御さんのキャッシュカードを使って預貯金を引き出していた、といったケースです。相続発生時には預貯金として残ってはいませんが、遺産相続時点できちんと整理・把握しておきたいところです。

ひと通り遺産の確認が終わると、今度は遺産分割です。遺産分割は「遺産分割協議」という、相続人全員の話し合いで決めます。ただ、この遺産分割協議というのが大変で、意見が合わない相続人や、話し合いへの参加をしない相続人が出ると、協議がまとまりません。もし遺産分割協議に合意できないと、相続財産は相続人全員の共有状態となってしまい、処分が難しくなります。

このような困った事態を回避する場合、相続人が家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。もしこの調停に現れない相続人がいると、遺産分割審判に発展し、裁判官が遺産分割を決めることになります。

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遺言書があればそれに従い、なければ遺産分割協議をおこなう

以上が相続の大まかな流れですが、遺産を「きょうだいで遺産分割する」という場合、2つのパターンがあります。

ひとつは、亡くなった方に複数の子ども、つまりきょうだいがいるパターン。もうひとつは、亡くなった方に子どもがなく、その方のきょうだいが相続人となるパターンです。「きょうだいで遺産分割」という表現は同じですが、状況は大きく違うといえます。

とはいえ、遺産分割協議の流れはどちらも同じです。遺言書があればそれに従い、ない場合は相続人全員で話し合いをおこなうことになります。