石川県・能登地方で震度5弱を観測した地震で、北陸新幹線が遅れ、深夜3時に富山市内の富山駅に着いたが、車内や待合室を使わせてもらえなかった――。
この新幹線を利用した乗客がX上でこんな投稿をして、関心を集めている。JR西日本金沢支社は、「当日出来る限りの対応を実施させていただきました」などと取材に説明した。
列車ホテルなどの利用「始発の新幹線に響くと断られた」
敦賀発富山行きの北陸新幹線「つるぎ」は2024年11月26日深夜、石川・富山両県境の俱利伽羅トンネル内で緊急停車し、4時間近く経って、運行を再開した。
富山駅に翌27日午前3時ごろに着いたときの様子は、テレビのニュースでも放送された。車内には、80人近い乗客がおり、交通手段が乏しいだけに、困惑した様子だった。駅員は、改札近くで乗客のために水とビスケットを配った。
この新幹線に乗車した「く」さん(@phphphphpher)は、新幹線が緊急停車してから富山駅で1夜を過ごすまでのことをXで次々に投稿した。
それらの投稿によると、富山県魚津市内のホテルに泊まる予定だったが、新幹線が遅れたため、「これは列車ホテルかなー」と思った。ところが、富山駅に着くと、駅員から列車ホテルはないと言われ、待合室も利用できなかった。駅前などのホテルに泊まろうとしたが、満室ばかりだったという。
駅員からは、自由通路がある駅コンコースの利用も断られたが、数人の乗客で交渉した結果、コンコースは利用できた。しかし、外気が入ってきて寒く、記者に教えてもらった24時間営業の牛丼店に行くなどして1夜をしのいだ。
「く」さんは29日、J-CASTニュースの取材に応じ、当時の状況を説明した。
それによると、富山駅に着くと、列車ホテルか待合室利用を駅員に依頼したが、列車ホテルのような制度はなく、始発の新幹線に響くとして断られたという。魚津まではJRとは別の路線を使うため、タクシー代行も使えない様子だった。また、駅コンコースからも出るように言われ、コンコースは富山市管理の部分もあるため、乗客数人で交渉すると、その部分の使用については排除しないとなったという。
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「今回の事象を踏まえて、寄り添った対応をしたい」
その後、新幹線の改札は、11月27日3時40分ごろに完全にシャッターが閉められ、駅員が見回りに来ることはなかった。また、シャッターを閉めた後は、駅員らとの連絡を取ることもできなくなったという。
こうしたJRの対応について、「く」さんは、次のように述べた。
「列車ホテルや待合室はあくまでも善意であること、富山行きなので輸送は終了していることは承知していますが、2次交通は全て終了していること、冬の富山駅は吹き抜け構造で寒く凍死の危険もあることからも何かしらのネカフェやホテルやJR西日本グループホテルの案内、もしくは暖を取らせてもらう場所の提供をしていただきたかった」
JR東日本や東海に比べて、「同じJRとは思えない対応の差」があったと感じており、JR西日本についても、「関西や山陽エリアでは手厚い救済があることが多いようで不平等に感じました」と漏らした。そのうえで、「JRの規則や契約にとらわれず、緊急時という前提を考慮したうえで、点検という都合の上で3時に到着したのなら常識的な時間まで滞在を認めるなど柔軟かつ迅速な対応をしていただきたかったです」と訴えた。
新幹線乗客への対応について、JR西日本金沢支社の広報室は29日、取材に次のように答えた。
「地震の影響で列車が遅れ大変ご迷惑お掛けいたしました。弊社といたしましては、未明に運転再開した新幹線から降りられたお客様に非常食と水を提供し、またお帰りになるお客様のために、タクシー会社へ協力要請など当日出来る限りの対応を実施させていただきました。今回の事象を踏まえて、それぞれのお客様に対してご満足いただけるように、寄り添った対応を行ってまいりたいと考えています」
なお、当日の実際の対応については、当日の出勤者一人一人に確認しているところだという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)