男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「1日2回は多い?」付き合う前のアラサー男女、適度な連絡頻度の正解は?
本当に、好きだった。心の底から愛していたし、だからこそ決意を決め、先月「結婚しよう」とも言った。
しかし3年も付き合っていた彼女の百合から、僕は突然振られてしまった。
理由は「このまま隆史と結婚していいのか、わからなくなったから」。
そんな理由で僕が納得できるわけがない。
でも百合はそれ以上明確な答えを出してくれないまま、突然別れを切り出し、すでにひとり違う方向を見ている。
交際期間約3年。来年の年明けくらいには、籍を入れようとしていたタイミングだった。
婚約までしていたのに、突然別れを切り出す女性の心理とは、一体どのようなものなのだろうか…。
Q1:女が交際2年で思ったことは?
百合と出会ったのは、マッチングアプリだった。世の中が自粛ムードで、出会いなんてまったくなかったあの頃、僕と百合がアプリで出会ったのは、必然だったと思う。
初回から気が合い、その後何度かデートをしてすぐに交際することになった僕たち。当時僕は30歳で、百合は29歳で、年齢も近く話も合った。
ショートヘアがよく似合う美人で、外見も魅力的だったし、何より頼り甲斐があり、自分をしっかり持ちながらハキハキと話す百合に強く惹かれていた。
百合も僕のことをだいぶ好きでいてくれたようで、とにかく交際当初は一緒にいられるだけで、十分に嬉しかった。
「百合、好きだよ」
「私も。隆史と、ずっと一緒にいたい」
何度も確かめあうほど、僕たちはお互いのことを思い合っていた。
そしてIT系の会社に勤める僕と、IT関連のスタートアップ企業に勤める百合は、当時ほぼリモートで双方の家で仕事をしたりもしていた。
同じ空間に長時間いても、一緒にいるのが当然…のような心地良さがあることにも驚いた。
「なんかさ…百合とはずっと前から知り合いだった感じがする」
一息ついたタイミングでコーヒーを淹れてくれた百合に、「ありがとう」と言いながら話しかけると、百合も大きく頷いてくれた。
「わかる。隆史といると、ノーストレスなんだよね。とにかく居心地が良いし、一緒にいるのが自然というか」
「そうそう。まるで家族みたい」
「本当だね。不思議だよね」
「これが運命ってことか」と思ったくらいだ。
それからしばらくして世の中も動き始め、出社する日も増え、日中にお互いの家を行き来する頻度は減った。けれども基本的に、週末は一緒に過ごしていた。
特に何かをするわけではないけれど、買い物に付き合ったり、ご飯を食べて泊まって…。ごくごく普通の恋人同士がするような時間を過ごし、大きなケンカもなく、平和な日々が続いていた僕たちの関係。
しかし1年が過ぎ、2年目に突入しようとした頃、だんだんと、百合からプレッシャーをかけられるようになっていく。
「隆史。この先のこと、どう考えているの?」
「どうって?」
「結婚とか、ちゃんと考えてる?」
突然百合からそう言われて、僕は一瞬フリーズしてしまった。
「もちろん。もう少し待っていて。ちゃんとするから」
そう言った時、百合が眩しいくらいに笑顔になったのを今でも覚えている。
「本当に?嬉しい。絶対、ちゃんと考えてよ?」
「もちろん」
― そうだよな、百合は結婚したいよな。
そう思い、この時くらいから僕は百合との結婚を意識し始めた。
Q2:年収アップして良い男になったはずが…女が婚約破棄をした理由は?
しかし僕の転職などが重なり、気がつけば百合と交際して、2年半が経っていた。
でもそれも随時百合には相談していたし、ちゃんと報告もしていた。
「ごめん百合。僕今転職を考えていて。ステップアップにもなるし、何より給料も上がるし…。落ち着いてから、百合と結婚したいと思っている」
「そうだよね。それは理解できる」
「だからもう少し、待っていてほしい」
「わかった」
今までは年収800万程度だったものの、転職によって年収は1,200万になる。それを百合に伝えると、まるで自分のことのように喜んでくれた。
「すごいね隆史。応援する!」
「ありがとう」
しかし、僕の転職と同じ時期に、百合の仕事も忙しくなった。それに伴って会えない時間が増え、少しずつすれ違いが多くなっていった。
それまでは毎週末会えていたのに、「ごめん、今週厳しい…」と百合から言われることも多くなった。
ただそれを聞いて、僕自身も忙しくて少しホッとしたのも事実だ。
「仕事がんばってね」
「隆史ありがとう」
助かったのが、お互いに忙しくて、自立をしていたことだった。
交際当初だったら、「毎日連絡がないと不安」とか、「声が聞きたい」とかあったかもしれない。
しかし、百合はどちらかというと男っぽい性格で、そういった面倒な連絡を一切してこない。僕もマメな性格ではないので、連絡頻度をお互いにあまり求めない関係は最高だった。
そんな中、久しぶりに会えたある日のデート。目黒川沿いを散歩しながら、僕は思っていたことを伝えてみた。
「百合ってさ、“寂しい”とか言ってこないよね」
すると、百合はとても驚いた表情を僕に向けてきた。
「え?言っていいの?」
「ん?どういう意味?」
「そういうことを言うと、隆史は嫌がるかなと思って」
「まぁ…そうだね。ビックリはするかも」
結局、あの日の会話がなんだったのかはわからない。でも今でもなぜか、あの時の百合の顔が頭から離れない。
こうして忙しすぎる日々を終え、ようやく落ち着いた頃。交際を開始してから3年にもなったし、僕はプロポーズをすると決意した。
ここまで一緒にいてくれたし、お互い忙しい時期も乗り越えて、歴史と絆がある。本当に感謝もしているし、結婚するなら百合以外は考えられない。
だから僕の家でご飯を食べ、洗い物をしてくれている百合に、僕は意を決して遂に言った。
「百合、そろそろ結婚しない?」
すると百合は今にも泣き出しそうな、でも心底驚いているような…なんとも表現し難い表情になった。
「え…本当に?」
「こんなところで嘘なんてつかないよ(笑)」
「ありがとう」
年明けに、僕は改めて正式にプロポーズをしようと思っていたし、今年の年末年始はお互いの家に挨拶へ行こうとも思っていた。
しかしその挨拶が実現する前に、百合からあっけなく振られてしまった。
僕たちの3年の歴史は、なんだったのだろうか?
こんなにも大切で、大好きだった人から突然振られ、僕はもう絶望的な気持ちでどうすれば良いのかわからずにいる。
▶前回:「1日2回は多い?」付き合う前のアラサー男女、適度な連絡頻度の正解は?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女が婚約破棄を決めた、誰も知らない本当の理由とは…