「取引に不正があった場合は私財で弁償し、さらに切腹する」──。
四国銀行が公式サイトに掲載している「誓約書」の内容が、Xで驚きを集めている。これは明治時代に設立した前身会社の遺物であり、「四国銀行の至宝」として伝えられているという。同社に詳しい話を取材した。
「社会人としての倫理観、責任感の重さを伝える」
話題になっているのは、四国銀行が企業情報のひとつとして、公式サイトに掲載している「誓約書」というページだ。古い巻物や文書の写真が紹介されている。
誓約書の内容は、四国銀行の礎となる「第37国立銀行」(1878年設立、改称や合併を経て1897年に株式会社化、1923年に商号が四国銀行に変わった)が、お札の厳正な取扱いを遵守すべく、頭取以下全従業員23人が連署して血判を押したものの一部だという。下記のようにも説明されている。
「取引に不正があった場合は私財で弁償し、さらに切腹することを誓ったもの。銀行員としてだけでなく社会人としての倫理観、責任感の重さを伝えるもので、四国銀行の至宝として伝えられています」
原文としては、このように記されている。
「”誓約” 当銀行ニ従事スル者本行之金円ヲ盗用シ又ハ故(コトサ)ラニ人ヲシテ窃取セシメタルモノハ私財ヲ挙ケテコレヲ弁償シ而シテ自刃ス」
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四国銀行に取材したら…
銀行の不祥事をめぐっては2024年11月22日、三菱UFJ銀行が、元行員が貸金庫から客の資産を盗む事案が生じたと発表したばかり。元行員の供述に基づくと、被害総額は時価十数億円程度にのぼるとのこと。自身の行為を認めており、既に懲戒解雇されたという。
事件がXで波紋を広げるなか、同業である四国銀行の「誓約書」が改めて注目され、「銀行としての覚悟が違うな…切腹か…」「気概が凄い」「社会人としての倫理観と責任感の果たし方が群を抜いてる」「めっちゃ信用できる」「預けたくなっちゃう(笑)」などと好評を博すことに。
また、「切腹の実績はあったのだろうか?」「今でも有効なの?」と関心を寄せるユーザーも現れた。直近では平成時代にも、四国銀行は横領などの不祥事をたびたび報告し、再発防止に向けて取り組んできた。
J-CASTニュースは四国銀行(本店・高知市)に取材を申し込み、誓約書を作成後に切腹した人はいるか、いつ頃まで効力があったか、好意的な反響への受け止めなどを尋ねた。同社の総合企画部は26日、下記のように答えるにとどめた。
「誓約書に関する件につきまして、当行としましては、ホームページで公開している情報が全てであり、その他についての回答は差し控えさせていただきます」