―[貧困東大生・布施川天馬]―
みなさんは普段どの媒体から情報を摂取しますか?誰でもインターネットにつながっている現代では、ネットニュースやネット記事がメインの方も多いのでは。
私は、敢えてここで「紙の新聞」の重要性を再確認したく考えています。昨今のSNSでは「マスゴミ」「偏向報道」「忖度」なんてワードが飛び交います。
テレビや新聞などオールドメディアの情報は批判され、YouTubeなどを通じた「暴露」がもてはやされる。では、それにどれだけの意味が込められているでしょうか。
私たちは、知らず知らずのうちに、過激で、わかりやすく、センセーショナルなニュースばかりを好んでいるのかもしれません。無意識のうちに、自分にとって都合のいい情報ばかりに囲まれる「フィルターバブル」から脱せていない。
ですが、「芸能人の○○が不倫していた」だの「○○社の商品への異物混入の投稿」などは社会にとって重要なニュースではないでしょう。なじみ深い情報ばかりを集めるのではなく、「自分が知らなかった情報」を集めることにこそ、意味があるはずです。
今回は、今年の4月から半年以上紙の新聞を取り続けてわかった、「現代人こそ紙の新聞を読むべき理由」をお伝えします。
◆ネットニュースだけでは得られない要素とは
私たちは、毎日無料の情報を摂取しています。テレビやネットニュース、YouTubeはその代表。だからこそ、情報を無料と勘違いしがちです。ですが、本質的な情報は無料では転がっていない。正確に言えば、「情報があるだけ」でしかありません。
情報とは単体では意味を成しません。背景となる出来事、歴史的事情、人物像などを加味してこそ分析ができますし、どんな影響があるか論じるためには、社会の現状について広く知っており、ほかの出来事との相対化が必要。
ですが、ネットニュースには、この「情報の体系化」の要素が非常に欠けている。
◆「情報を摂取する」とはどういうことか
確かに、SNSで炎上するような事件はどれも扇情的で刺激に満ち溢れていて、誰しもが口を出せるほどに明快です。
「買った商品に致命的な不備があった」とか、「立ち寄ったお店が信じられないほど塩対応だった」とか、リアルな「怒り」に飾られた報告は、リアリティのある文体が伴います。まるで自分が当事者になったかのように、読んだ瞬間から反感が立ち上ってくる。
ですが、単体の出来事にリアクションするだけでは、まったく意味がありません。我々が情報を摂取する意味は、それを元に未来を予測したり、立ち位置などを読み取ったりするためでしょう。
そう考えると、情報はある程度まとめられていてしかるべきですし、読後には、考察を走らせるべき。仮に、そうしなかったなら、娯楽として消費しているにすぎず、「情報を摂取している」とはお世辞にも言えません。
◆新聞はコスパがいい
新聞の利点は、「裏付けされた情報が体系的にまとめられている」点。新聞社に勤めている優秀な方々が街を駆けずり回って集め、裏どりをした情報を、僕は家で寝ているだけで手にできる。
しかも、情報同士の関係性や属性に基づいて紙面ごとに整理されており、見出しや紙面の大きさで重要度もある程度察知できる。
今回、僕は2024年4月から日本経済新聞を契約し、人生初の新聞購読を始めました。その結果、自らが社会について何も理解していないことを痛感。
僕はこれまで国際情勢に全く興味がありませんでしたが、それは国際ニュースを何一つ知らなかったためでした。自ら知ろうとしなければ、踏み入ることすらできない世界があります。
◆「紙」ならではの利点も
紙に絞ったのは、電子スクリーンを通した読書体験は、紙媒体のそれと比べて著しく理解度が落ちる研究結果が出ているため。さらに、紙であれば、気に入ったり覚えておきたかったりした記事を、物理的に切り離して保存も可能。
新聞の情報を「偏向報道」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、扇情的で刺激に溢れ、ほかの事件から孤立しているニュースばかり流れてくるSNSやネットメディアよりは、よっぽど健全に見えます。今だからこそ、新聞を手に取ってみるのはいかがでしょうか。
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)