2024年11月15日、リンガーハットは「かきちゃんぽん」を発売開始。そのラインナップは3種類で、かき2個入りが990円(税込、以下同)、かき3個入りが1290円です。そして、注目を集めているのが「かきちゃんぽんDELUXE」で、値段がなんと3990円で12個ものかきが乗っているというのです。(※価格はレギュラーサイズの標準価格)
値段もボリュームも衝撃的なこのメニュー。本記事では、実食したうえでの正直な感想を紹介したいと思います。
◆注文時にスタッフから“念押し”が
店に行ってみると、店外にも「かきちゃんぽん」と書かれたのぼりが並び、入り口にもかきちゃんぽんの写真が掲げられていて、この季節の一押しであることが伺えます。
店内に入り注文をするとスタッフの方が「かきちゃんぽんDELUXEですね。かきが12個入っていますが、よろしいですか?」と念押し。言い方から、マニュアルではなくそのスタッフの方のアドリブでのようでしたが、確かに「あ、間違えて頼んじゃった」で払える値段でも食べきれるかきの個数でもないため、よいホスピタリティだなと感じました。
◆丼いっぱいに盛られた12個のかきは、まさに圧巻…
厨房が見える席だったので、調理の様子を眺めて待ちます。かきは、親子丼やカツ丼を作る用のような取っ手が垂直に立った浅い鍋で、ちゃんぽんとは別に蒸し焼きにされている様子が見て取れました。
「かきちゃんぽんDELUXE」が目の前に運ばれてくると、かきの香りが立ち上ってきます。
丼の中心から放射状に盛られた12個のかきは、片栗粉か小麦粉をつけて蒸し焼きにされているようで、美味しそうな茶色の焦げ目。これだけのかきが並ぶのは圧巻の一言です!
◆国産かきは確かな美味しさだった!
麺類は、まずスープを一口飲んでから麺をすする筆者ですが、この一杯はまずかきからいただきます。
まだ、スープに浸っていないかきは一口噛むと、なかからジュワッと吹き出す濃い汁。口に広がる塩気にはやや鋭さがあるものの、豆乳クリームバターで焼かれているため、角が立ちすぎていることはありません。プリプリの肉質の上に大粒なので、咀嚼もやや長くなります。その度に磯の香りが口から鼻へ抜けて行くのは幸福感があります。国産にこだわって仕入れているというだけあって、確かにレベルが高さが感じられました。
「好きなものは最初に食べるか最後に食べるか論争」がありますよね。かきが2〜3個しか入っていなければ、それを考えながら食べなくてはなりませんね。もしくは、「最初に1個食べて、もうひとつは最後に」などとペース配分する必要があります。
「かきちゃんぽんDELUXE」は、そんなことも考えず、かきを好きなタイミングで好きなだけ食べていいという、精神的満足感も魅力のひとつに感じます。
◆一番推せるポイントは…
かきも美味しい上に、麺もリンガーハットのあの麺なので安心して食べられますが、筆者がもっとも推すポイントは別の部分。スープがとても美味しいんです!
赤白4種類の味噌をブレンドした特製のスープで、味噌の甘さが第一印象としてやってきます。その甘さは、やがてコクとなってスープの深みを作っています。かきの塩気と対照的なので、かきをスープにくぐらせて食べるとそさらに引き立つれぞれの良さ。
正直、レギュラーで販売されている「みそちゃんぽん」のスープもこちらにして、通年で味わいたい美味しさです!
また、提供時に「こちらも合いますので、ぜひお試しください」とお盆に一緒に乗せられていた柚子胡椒を混ぜると、ゆずで爽やかさが加わります。さらに、その辛味によって味に輪郭がつけられるようで、オススメもうなづけます。
◆後半は「かきをノルマ」に感じてしまった
しかし、かきを5個食べ終わったあたりから、様子が変わってきました。かき独特の濃厚な香りが、ややtoo muchに感じられるようになりはじめたのです。
味もそうですが、蒸し焼きにする際につけられている片栗粉(もしくは小麦粉)が、時間が立つことでネチョっとした食感になり、重さをブーストしています。
7〜8個目あたりになると、美味しかったかきを正直ノルマのように感じてしまっていました。何かを変えなくてはと思い、柚子胡椒をかきに乗せて食べてみますが、味が濃くなるばかりで効果なし……。
酸味を求めて、卓上にあった「餃子のタレ」をかけてみるも、確かに酸味は加わるが醤油の塩気が強く、しょっぱすぎます。同じように、レンゲにのせたかきに卓上にあった「酢」をかけると、これが正解でした!
酢のツンとくる刺激が、豆乳クリームバター・かきのミルキーさ・味噌スープの“まるみ”で中和され、程よい酸味となるのです! この「酢かき」で2〜3個は再び美味しく食べることができました。
◆筆者がオススメする食べ方は…
とはいえ、12個目にはやはり「かき、多すぎるな」と感じたことは否めない事実です。そのため、会計時に表示された3990円も「高いな」と感じたのが率直な感想。
もちろん、好みの問題であるため正解はありませんし、かきが大好きな人にとってはパラダイスのようなメニューだと思います。参考までに、筆者は「まぁまぁかき好き」というレベルだということを書き添えておきます。
ただ、かきの美味しさは確かなものであった上に、あのスープは飲み干してなお、名残惜しささえありました!
結果、次回注文するなら「かきちゃんぽん3個入り(1290円)+かきトッピング1個(300円)=1590円」がいいなと思った次第です。
「かきちゃんぽん」シリーズは一部店舗では販売されていません。期間も含めて詳細は「長崎ちゃんぽん リンガーハット」の公式サイトをご確認ください。
<TEXT/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。