紅葉シーズンの京都をゆったり歩くおすすめコースをご紹介。3回目は、史跡やロケ地などが点在し、酒蔵が立ち並ぶ港町伏見。ノスタルジックな風情ある街並みを存分に愉しめるコースです。



京都の裏道ウォーキングルートの3回目は、史跡やロケ地などが点在し、酒蔵が立ち並ぶ港町伏見。ノスタルジックな風情ある街並みを存分に愉しめるコースです。

紅葉シーズンの穴場ウォーキングマップ

1 アカデミック&レトロな岡崎を歩く

2 紅葉の穴場が散在! 嵯峨野の裏道を歩く

3 酒どころと史跡をめぐる伏見コース

水に癒される京都通のための散歩道

京阪中書島駅に降り立ったら、まずは軽くウォーミングアップがてら伏見港公園へ。園内にはウォーキングコースマップが設置されているので、コンディションに合わせてお好みのルートを選択しましょう。鳥のさえずりや葉擦れの音を聴きながらの心洗われるひととき。伏見みなと広場(現在工事中)と公園をつなぐ伏見みなと橋まで足を延ばして、濠川(ほりかわ)の風景を眺めて小休止したら、来た道とは別の道を通って駅前まで戻ります。

その後4分ほど北上し、バス停留所「中書島」を目印に右折して、細い道を行くと伏見十石舟の乗り場が見えてきます。そこからは川沿いの遊歩道を歩いて行くのですが、途中、建ち並ぶ酒蔵を見上げながら、絶好のフォトスポットを見つけるのも酒どころならでは。

そうこうするうちに、橋のたもとにある伏見みなと公園に着きます。ここは、犬の散歩をしたり釣竿を垂らしたりと住民たちが思い思いの時間を過ごす憩いの場。園内には、「龍馬とお龍、愛の旅路」像が。寺田屋宿泊中に襲われ、お龍に命を救われた龍馬は、しばらく伏見薩摩藩邸にかくまわれていましたが、右手の傷を癒すため三十石船に乗って、お龍と共に九州の霧島へと旅立ちました。この旅が日本初の新婚旅行といわれていることは有名ですが、その三十石船の乗り場がいまなお、この園内にあることはなかなか知られていません。思わぬ発見があるのも裏道散歩の面白さですね。

さらに進むと、折り返し地点となる伏見であい橋に到着です。知る人ぞ知る桜の名所でもあるY字橋は、映画『君の膵臓を食べたい』のロケ地になった場所。劇中、小栗旬さんがこの橋の欄干にもたれていたのです! ……と、興奮が落ち着いたら。

ここからは、川沿いの反対側の道を歩きます。先ほど通った公園まで戻れば、その向かいには、龍馬が定宿にしていた寺田屋が。真っ直ぐ進むと、突き当り右手には月桂冠旧本社のレトロな建物があり、そこから少し南へ行ったところには月桂冠大倉記念館と、酒どころ・伏見の歴史に触れることができます。

そのまま南下して川に行き当れば、一本東の通りを今度は北上し、ゴールとなる京阪伏見桃山駅を目指します。たくさんの飲食店が建ち並び、どの店も伏見の酒を豊富に取りそろえているため、散歩終わりを京の地酒でシメるのもオツなものかもしれません。

ウォーキングメモ

伝統ある木製の舟で港町伏見をめぐる「伏見十石舟」は、春から秋にかけて水辺からの景色を愉しむことができる人気クルーズ。色づくもみじや桜が水面に映る様子は、ここでしか見られないリバービューです。時間と体力に余裕があれば、一度体験してみるのもおすすめです。



イラスト/まるいみさき
写真・文/椿屋
デザイン/WATARIGRAPHIC