地域によって、異なる表情を見せてくれるスペイン。多彩な魅力を凝縮しているもののひとつが食文化だ。郷土料理からモダンスパニッシュ料理まで、豊かな食文化が地域ごとに根付いている。美食の国、そして情熱の国スペインの魅力について、スペイン料理研究家の永田枝理子さんに聞いた。
街行くだけで愛を感じる
芸術の街バルセロナに王宮のある首都マドリッド、古都トレドにエキゾティックな街グラナダ、オレンジやパエリアで知られるバレンシア、イスラム文化を色濃く残すコルドバ。
主要都市だけでも、異なる表情を見せてくれるスペイン。各地の多彩な文化が旅人を魅了し続けている。スペイン料理研究家の永田枝理子さんも魅了された一人だ。
「イタリアへ料理留学に行く前に、友人がいたスペインへ行きました。その時にはまり、結局、半年後にはスペインへ留学していました。初めて行ったのは、ブルゴスという古都。街並みが圧倒されるほど美しく、食事は美味しく、人がとても魅力的でした。スペインでは人と人の距離が近く、正直で優しい。街にいるだけで、自分も愛をもらえる感じがします」
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地元の料理で感じる「郷土愛」
永田さんは、食文化の中にも愛を感じると話す。
「街のバルに入れば、その街周辺のワインやビールが出てきます。KM0(地産地消)も広まっています。100km以内の小規模生産者の品質の高い製品を地元で消費することには地元食品だけでなく、伝統を守る意味もあるんです。『Cocina tradicional』をキーワードにお店を探せば、その街の伝統料理が食べられるレストランが探せますよ」
旅行先では、ぜひバルや市場ものぞいてほしいと永田さん。
「地元の人で混んでいるバルが望ましいです。並んでいるものや、周りの人が食べているものをこっそり指さして頼むなど、言葉が通じなくても楽しめます。市場にも絶対行くべき。その場所ならではの食が垣間見えます」
1日4 ~5食という人も珍しくないというスペイン。その習慣に従えば、旅行者もこの国の美食が存分に堪能できそうだ。特におすすめの旅行先をうかがうと、「バスク州のサン・セバスティアンを拠点に、近隣の港町や山村へ大人の遠足を。巡礼の最終地点、サンティアゴ・デ・コンポステーラの旧市街で迷子になるのもいいものですよ」と永田さん。「スペインは旬の料理が多いので、季節を替えて訪れてみてください」
次回の旅では、食文化を通してスペインの情熱に触れてみてはいかがだろうか。