シャンパーニュの名門「ボランジェ」。この度、ボランジェファミリーの6代目でグローバル・セールス・ディレクターを務めるシリル・ドゥラリュ氏が来日し、『PN VZ 19』(ピー・エヌ・ ヴイ・ゼッド19)のお披露目を兼ねて、メゾンの真骨頂であるピノ・ノワールにフォーカスした三つのプレミアムなブラン・ド・ノワール(*)を紹介した。

ボランジェのピノ・ノワールのプロジェクトは、創立200周年を記念してスタートしたもの。
「ピノ・ノワール」シリーズと、『ラ・コート・オー・ザンファン』『ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ』がピノ・ノワールに特化した3キュヴェだ。
ピノ・ノワールはボランジェの礎を築いたマダム・ボランジェが注目し、今にその哲学が受け継がれる品種である。
ピノ・ノワールとシャルドネに関してはすべてグラン・クリュ(特級畑)であることもその矜持を支えている。

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ボランジェが手掛けるピノ・ノワールシリーズは、リザーヴワインをマグナムボトルで保管しているのが重要なポイントだ。現在約100万本のリザーヴワインのマグナムボトルが保管されているという。
なぜピノ・ノワールなのか?
「まずは、複雑な風味が表現できるからです。そしてデリケートなテクスチャーと食事に合わせやすい味わいに仕上げられること、さらには熟成の可能性が期待できることなどが理由です」とドゥラリュ氏は語った。

『PN AYC 18』(ピー・エヌ・エー・ワイ・シー 18)(税別希望小売価格1万9000円)

四つのメインクリュ(アイ、トーシエール、ヴェルズネー、アヴネー)、四つのヴィンテージ(2018年、17年、16年、09年)、そして4年の熟成を経てリリースされた。メインのクリュとして初めてアイ村(47パーセント使用)を採用したキュヴェでもある。メインヴィンテージの18年は暖かい年で、質量ともに優れた年だった。
「果実が香り、完熟したニュアンスもある。パワフルでエレガントなシャンパーニュになりました」とドゥラリュ氏。「難しいことを考えず楽しみながら飲めるキュヴェです」とも。セミナーでは「赤エビのタルタル」の一皿と合わせた。

『PN AYC 18』には「赤エビのタルタル、キャビア/秋茄子のムースリーヌ/完熟トマトのコンソメジュレ、アルグラスプラウト」を合わせた。赤エビの甘味や野菜の旨味にすっきりとしたミネラル感、骨格のある果実味がマッチする

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『PN VZ 19』(ピー・エヌ・ヴイ・ゼッド19)(税別希望小売価格2万1000円)

17ヘクタールを所有するヴェルズネーの北向き斜面のピノ・ノワールと、キュイ村のシャルドネで造られる。
「フレッシュさとミネラル感が強いのがヴェルズネイの特徴です」とドゥラリュ氏。温暖化の影響で、近年はヴェルズネー村だけでシャンパーニュを造る生産者も出てきているが、ボランジェではブレンドとして用いる。
「近年では2015年、16年、19年でヴェルズネーのピノ・ノワールを選びました。年を追うごとにブレンドに使用する頻度が多くなっています」
六つのクリュ(ヴェルズネー、アイ、アヴネー、ルーヴォーワ、ミュティニー)、そして三つのヴィンテージ(2019年、18年、09年)をブレンドし、4年間熟成させる。
「19年は高温で乾燥した年でした。ブドウの出来は良く、フレッシュでミネラル感が表れています」とドゥラリュ氏。ドゥラリュ氏お気に入りのヴィンテージだという。香りと味のコントラストがはっきりしていて、筋肉質。エキゾチックフルーツの香りも漂う。
今年の夏にリリースした商品で、すでにワインジャーナリストからは95~97点の高評価を得ている。

『PN VZ 19』に合わせたのは「北海道産帆立貝のポワレ/柚子オランデーズソース/多彩な茸のブレゼ、トリュフと蓮根のガレット」。甘味のある帆立と和柑橘が香るソースに、骨格のあるシャンパーニュが呼応する