豊かな食文化の国として知られるスペイン。スパニッシュオムレツなどのタパス(小皿料理)は日本でも愛されている。素材の持ち味を生かした料理の数々は、日本人の舌にも合うものばかり。スペインに行けば、多彩さと奥の深さに魅了され、何度でも行きたくなる。
スペイン人は食を大切にし、1日5食、食事をとると言われている。それだけ食べたくなるほどの料理があるからだろう。季節によって、また地域によって、おいしい食材や料理があり、季節や旬を大切にする日本人とも通じるところがある。
北部のサン・セバスティアンは「美食の聖地」とも呼ばれるほど、街はおいしいものであふれており、タパスが有名だ。バル(居酒屋)で小皿に盛りつけられたピンチョスなど料理の数々を、ワインやソフトドリンクとともにいただき、みんなで会話を楽しむ。これこそ、人生の喜びだ。海の幸に恵まれている地域だけに、魚介類は新鮮で美味。タパスは軽食として楽しむものだが、それぞれの店の持ち味もあるので、様々な店を訪ね歩きたくなる。
スペインの食として欠かせないのがハムやチーズ。「ドン・キホーテ」で知られるラ・マンチャ地方の名産なのが、マンチェゴと呼ばれる羊乳のチーズだ。深いコクと甘みが特徴で、一度食べるとまた食べたくなる。ラ・マンチャ地方では、夏野菜を煮込んだ「ピスト・マンチェゴ」もぜひ味わいたい。
生ハムは、スペインの食の代表格とも言えるだろう。市場や食料品店では、まるごとをつり下げた光景をよく見かける。なかでもイベリコ豚の生ハム(Jamón Ibrico)は脂も乗っていて舌触りも良い絶品。熟成した肉はコクとうまみがあり、スライスしてそのまま食べたり、サンドイッチに挟んだり。
有名なリンゴのお酒「シードラ(シードル)」もスペインならではなので、ぜひ試してみたい。先日、日本酒とともに、ユネスコの世界無形文化財に登録された一品で、酸味とすっきりした飲み口が特徴だ。注ぎ方も独特。樽から放物線を描くように直接注ぐこともあれば、瓶入りの場合、頭の上ぐらいの高さから注ぐ。
どの季節を選んでも、どの地方に行っても期待を裏切らないスペインの食。ぜひ訪ねて、豊かな時間を過ごしたい。
text: Izumi Miyachi
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