2024年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。話の通じない「困った人」部門、迷惑行為の数々から第10位の記事はこちら!(集計期間は2024年1月~10月まで。初公開2024年4月17日 記事は取材時の状況) * * *
主に混み合う駅や繁華街などで、主に楯突かなそうな女性などを狙って体当りする「ぶつかり男」。一時期SNSで話題になりましたが、現在も全国で目撃情報や被害者の声が今なお発信され続けています。
東北地方に住む山本圭祐さん(仮名・28歳)は、「ぶつかり男」の対応に追われるはめになったことがあるそうです。
◆買い物袋やかばんをぶつけられる被害が
「近所にある道の駅は全国的にも有名で、週末には他県からのお客さんも多く訪れる人気スポット。自分は道の駅にある直売所に野菜を卸しているので、毎日のように通っています。コロナが明けるとお客さんもどんどん増えて、道の駅は大盛況。ただ、お客さんが増えたことでいろいろなトラブルも起きていて、なかでも『ぶつかり男』の被害にあう人が出るように。女性や子どもを狙って買い物袋やかばんをぶつけるようで、なかには打撲で病院に行ったおばあさんもいました」
不特定多数のお客さんが訪れる道の駅だけに、なかなか犯人を見つけるのは難しいところ。道の駅のスタッフも気をつけて見回りをするようになったそうですが、被害者は増えていくばかりだったとか。
◆被害者曰く「犯人は初老の男」
「われわれ生産者としても安心して買い物してほしいので、時間がある時はパトロールし捜索に協力しました。警察も見回りをしてくれていたのですが、なかなか特定には至らず。監視カメラを使っても、毎日たくさんのお客さんが来るので特定は難しかったんです。非常に難しい問題なんだと痛感しました」
困り果てていたものの、被害を受けた女性たちから聞いた話にヒントがありました。初老ぐらいの男性にぶつかられ、文句を言おうとしたら足早に車に逃げ込んだという証言を得たのです。
「週末にぶつかり行為が集中していることがわかりました。そこで、週末に限定して道の駅のスタッフや生産者などで、張り込みを行うことにしました。交代制で異変があったら駆けつけるようにして、警察に証拠を出せるように何かあったら動画を回してしっかり記録しようということに。正直、お金にもならないし、休みの日になんでこんなことしなければいけないのかと悲しい気持ちになりましたよ」
そんな時に、山本さんは決定的な現場に出くわしてしまったそうです。
◆犯人は「160センチ、60歳前後の男性」
「子どもが泣いている声がしたので駆け寄ると、目の前に蛇行するように歩いている男性の姿が。慌ててスマホの動画を回しつつ後を追いました。すると、混んでいる店内を早足で移動して、女性や子どもにばかりぶつかる。しかも、買い物袋だけでなく、自分が背負っていたリュックを当てることも。これは間違いないと、後ろをついて動画を撮り続けました」
仲間を呼び、その男性が自分の車に乗り込もうとしている時に意を決して声をかけたそうです。
「見た目は160センチくらいで、証言のとおり60歳前後の男性でした。こちらが声を掛けるとはじめは驚いた表情をしていたが、お客さんに迷惑行為をしている疑いがあると伝えると、激昂して反論してきた。男性が言うには、『混み合っている店内でぶつかるのは仕方ないし、自分も他人がぶつかってきて困っている』と言うんです。ならばと、自分が先ほど撮影した映像を見せ、明らかに女性や子どもにぶつかっていることを説明しました。あわせて、被害を訴えるお客さんが多く、警察とともに捜索をしていることを明かしました」
◆「警察にだけは言わないで」と泣きつき…
動画を見せられ、さらに「警察」という言葉が出たことで観念したのか、その男性は渋々ながらぶつかり行為を認め始めたのだとか。
「話を聞くと、『ここ最近以前より混み合うようになってイライラしていたが、自分より弱そうな対象にぶつかるとスカッとした』と説明したんです。今後も同じようなことをしたら動画を警察に提出すると釘を刺しました。そうすると急に態度を変えて平謝りし、今後は道の駅に近づかないので、警察にだけは言わないでほしいと泣きついてきました。警察に突き出すのが目的ではなかったので、反省していると判断して帰ってもらうことに。その後、被害者が出なくなったので、やはりわれわれが注意した男性が犯人だったという結論になりました」
例えば自分がより屈強な男性からぶつかられたら怖いと思うはず。想像力が欠落しているからこそ、何の気なしに人を傷つける愚行に走ってしまうのでしょう。もし目の前に現れたとしたら、証拠を残して言い逃れができない状況に追い込んでやりましょう。
<TEXT/高橋マナブ>
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている