私は定年間近のサラリーマン。妻と娘のために毎日仕事をしているものの、出世レースから外れて以来家族には冷たくされる日々。そんなある日、妻から退職金を渡すように言われて……。

窓際族と呼ばれて

高校を卒業してから今までずっと同じ会社で働いてきた私。若いころは出世を目指したりもしましたが、直属の上司が部長の座を奪われ、それに伴って私の評価も下落……。今ではすっかり窓際族と呼ばれるポジションに。

出世レースから外れたのを機に、妻と娘から金ヅル扱いで疎んじられるようになった私は、家にも会社にも居場所がありませんでした。

そんな私の憩いの場は、近所のカラオケスナック。昔から歌うことが好きで、気晴らしにマイクを手にしていたのですが、常連客の方々が喜んでくれるのでついつい何曲も歌ってしまうのでした。

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まさかのプレゼント?

そうしてやってきた定年退職の日。私は後輩社員から花束をもらい今までのことに思いをはせながら会社を後にしました。

いろいろあったけれど、家族には一応感謝の意味でケーキを買って帰ることに。今日くらいは「お疲れさま」と労わってくれるだろう、そう思いながら帰宅したのですが……。

待ち受けていたのは「ゲッ! ママ、もうお父さん帰って来た!」という娘の冷たいひと言。

一方で妻は、「今まで長かったわ……。はいこれ、プレゼント」と言いながら1枚の紙を出したのです。

そのプレゼントとは……まさかの離婚届でした。