10倍、20倍の規模へ成長する企業に投資したいものの、心配なのは急な株価の下落です。株価下落の対策として、どのようなポートフォリオを組むとよいのでしょうか。本記事では、DAIBOUCHOU氏による著書『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より一部抜粋・編集して、株式投資の暴落を見込んだポートフォリオについて解説します。

「10%から30%の株価下落は普通」と覚悟すべし    

いざ株価の暴落に直面したとき、株価がどのくらい下がるのかを想定しておくのは、一種の精神安定剤になります。

株価暴落については、10%から30%の下落で収まるというイメージを持っていただければよいかと思います。リーマンショックは、他の株価暴落に比べると別次元の下げ率で、実に50%を超えていたわけですが、これは本当の異常事態で、恐らく「100年に1度」レベルの大暴落だったと思います。

逆に、リーマンショックを参考にして、「株式は50%程度下げるリスクがある」と思ってポジションを取ろうとすると、あまりにもポートフォリオが保守的になり過ぎるきらいがあるので、逆に利益を最大化するチャンスを失うことになりかねません。

株価は投資家評価なので、たとえば株価が30%下げたとしても、企業業績まで30%下がるわけではないという点には、留意しておく必要があります。もちろん、株価の暴落で景気が冷え込めば、企業業績も悪くなります。

でも、業績面から見れば、会社の価値がそこまで落ちることはありません。あのリーマンショックで株価が大暴落した局面でさえ、少額でもきちっと利益を上げている会社はあったのです。ただ、投資家評価は過剰に反応します。なぜなら、「自分のお金が失われる」という想いが前面に出てくるからです。

誰しも、自分のお金を失いたいなどとは思いません。そして実際、株価の暴落に直面して、毎日のように自分が持っている株式の評価額が減っていくのを見るのは、かなりの恐怖です。これは私自身も経験があって、それこそリーマンショックに直面した時は、数億円単位で自分の資産を失いました。

特にハイパーグロース銘柄に投資して暴落に直面した場合、投資金額が30%失われるなどという甘いものではなく、半分、あるいは3分の1、下手をすると10分の1にまで目減りしてしまうケースもあります。

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リスクを回避するポートフォリオと心得

そのようなリスクを負いたくないので、私の場合、最初からハイパーグロース銘柄には手を出さず、割安成長銘柄を軸にしてポートフォリオを組んでいるのです。そのうえで、投資家評価については宿命だと思って、甘んじて受け入れるようにしています。

投資家評価が下がるのは仕方がない。だけれども、自分の保有銘柄の資産価値が10分の1にならないよう、大暴落するリスクができるだけ少ない、割安成長銘柄でポートフォリオを固めたうえで、投資家評価の下落を甘んじて受け入れるのです。

受け入れるというのは、暴落した時にあえてなにもしない、ということでもあります。変な色気を出して、これは新NISAではできないことですが、課税口座を用いて信用取引を行い、カラ売りで儲けようなどと考えるのは、却ってドツボにはまる恐れがあります。

「最大で30%下げるのはよくあること」と思って、「ああ、あのとき、売っておけばよかった」とか、そういう類いの後悔はいっさいしないようにすること。そんなことを頭に浮かべていると、冷静な判断が下せなくなります。

「何もしない」と申し上げましたが、それは株価の暴落に乗じて儲けようなどとは考えないこと、という意味です。積極的に仕掛けることは一切、しなくてもよいのですが、多少の対応策は検討する必要があります。