88歳の現役医師・帯津良一先生と、禅の高僧・横田南嶺管長。その道の賢者は、実は健康賢者でもありました。お二人の共著『心とからだを磨く生き方』から、心身ともに長く健康でいるために実践している健康法を3回に分けて紹介します。
2人の賢者が考える、理想の「呼吸法」
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「心身の元気を保つ秘訣は『呼吸法』である」と、88歳の現役医師・帯津良一先生と、禅の高僧・横田南嶺管長は語ります。
30代の頃から呼吸法を実践してきたという帯津先生。ただし、帯津先生は「呼吸法は一つの手段である」とも言います。
「私が長年実践してきた“調和道丹田呼吸”ですと、三呼一吸法でハー、ハー、ハーと息を吐き、スーと一度吸います。これはあくまで一つの方法であり、身についたら別段それを意識しなくても、ちゃんと呼吸が整っていくのが理想ではないかと思うのです」(帯津先生)
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横田管長も同じくいろいろな呼吸法を長年実践してきたそう。その上で「こだわり過ぎも良くない」と話します。
「例えば、人によっては『何分間、息を吐かないといけないのかな』と一生懸命になり過ぎて、苦しくてしようがないと。何も苦しくなるまでやらなくてもいいんじゃないかと思います(笑)」(横田管長)
お二人とも、呼吸法は一つの手段であるため、いろいろなこだわりを捨てて「体が本来持っている呼吸が素晴らしいというところまで行くのが理想」だと話します。
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吐く息に気持ちを込めれば、体が整う
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帯津先生いわく、気功の一種である呼吸法は「調身・調息・調心」が基本になっているとのこと。
「調身」
「調身」は身を整えること。上半身の力が抜けて下半身に気が張っている「上虚下実」(じょうきょかじつ)の状態を目指すもの。
「調息」
「調息」は吐く息に気持ちを込め、体の中で増えようとしているエントロピー(吐く息、汗、涙、大便小便などの不要なもの)を外に捨てること。
「調心」
「調心」は「不動智」(ふどうち)、すなわちどんな誘惑にも負けない心。一か所に固まっているのではなく、四方八方にゆらゆらと動きながらも、何かあればさっとそこへ行く心のこと。
「調息の『エントロピーを外に出す』というのは、体の中の汚れたものを吐き出し、清らかなものを吸い込むことです。これは江戸時代に健康で長寿を保つ具体的な養生法が紹介されている貝原益軒(かいばらえきけん)の『養生訓』にも書かれています。
吐く息に気持ちを込めるだけで、体の中の秩序が失われずに済む。だから健康維持にも良いんです」(帯津先生)