家族の住所でウソをつくと税金はどうなるのか
足立:ちょっと怖くなってきた。なぁ、住民票がウソだってバレたらどうなるんだよ。
木村:まず、住民基本台帳法違反だよな。ちゃんと届け出をすべきところをしなかったということで5万円以下の過料になることがある。
足立:なあんだ、5万円か。
山田:定額減税はどうなるんだ?
木村:ナシ。
足立:えっ。なんで?。
木村:非居住者だから。定額減税は日本の物価高騰対応のためだから、日本の居住者限定なのよ。
山田:なるほど。
木村:足立、月次源泉では「国内に扶養親族が住んでいる」って申告して定額減税を受けたんだろ。もしかしたら年末調整では還付じゃなくて追加徴収になるかもしれない。住宅ローン控除とかあれば別だけど。
足立:…。
木村:…もしかして、今回の年末調整で娘さんを扶養親族として申告したか?
足立:した。
木村:そうしたら、追加で親族関係証明と送金証明も出してくれ。非居住者の家族については、この2つが出てないと配偶者控除も扶養控除もできない決まりになっているからな。
足立:そんなぁ。
山田:住所が違うことで他にも不利になる税金ってあるのか?
木村:小規模宅地等の特例がそうだな。
山田:小規模…?
木村:親の自宅を相続したら土地の評価が安くなるっていうやつだよ。
山田:ああ。
木村:あれも住民票だけ移して親と同居してたことにして相続税を安くしようとする人がいるらしいよ。父親は「生活実態で見るから意味がないのに」と苦笑していたけど。
足立:…つまり、安くならないってこと?
木村:条件が合えば、別居の子でも親の自宅の土地の評価額は低くなるけど、そうじゃなければ高くなってしまうんだよね。
山田:いずれにしても、住所を住民票だけでごまかせるわけではないってことだね。
足立:税金は思ったより厳しいのね、トホホ。
鈴木まゆ子
税理士